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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2020.11.01
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フェデリコ・フェリーニ「青春群像」元町映画館​​
 なんといっても「青春群像」と邦題が付けられているくらいですから。5人の、まあ、今考えれば「青春」というには、少々薹が立っている男たちが登場します。
​ 1953年につくられた映画で、登場人物たちは20代の半ばを超えています。​​
​彼らが10代の後半から20代にかけて、何を経験したのか、映画には一切描かれないのですが、5人ともが、揃いもそろって定職につくわけでもなく、海辺の田舎町で、フラフラ、ウロウロしているのを、日本で言えば、昭和20年代の終わりということになる、当時の観客たちが「リアル」だと思って見たとすれば、おおむね予想がつくというものでしょう。
 こうやって、写真を見ると、いかにも「ラテン系」の青年たちの顔なのですが、ぼくには、全く見分けがつきません。みんなマフィアの子分にしか見えないのです。
 ところが、なかなか、どうして、映画の中では個性的なんです。​​​​一人一人の特徴を挙げれば、色男のファウスト空想家のアルベルト​劇作家志望のレオポルド​美声のリッカルド最年少のモラルドの5人です。​​​​​

​​ 写真の正面にいるのがファウストで、その陰に小さく映っているのがモラルドだと思うのですが、ちょっと確かではありません。​​
​​​​​​​​​​​ あとで調べてみると原題は「I Vitelloni」で、「雄牛」という意味だそうです。映画は、まさに、さかりのついた「雄牛」そのものというべき「色男」ファウストが、モラルドの妹サンドラにちょっかいを出し、妊娠させた挙句、逃げだそうとするのですが、父親にとっちめられて結婚するというシーンから始まりました。
 幸せなサンドラと問題児ファウストの結婚シーンです。そのあとの展開は、ファウストの、「播州弁」でいう所の「焼いても治らん」好色一代男話で、あんまりな結末に、サンドラの兄である悩めるナイーブ青年モラルドが汽車に乗って街を去るところで終わります。​​​​​​​​​​​

​​ ファウストの場所も、年齢も、社会的関係も、まあ、その他、制約になりそうなあらゆる障害をものともしない、女性に対する不埒で無節操な行動力は一見に値します。
 ちょっとエルビス・プレスリーに似た顔立ちで、口説けば必ずなんとかなると考えているようで、見ていて笑うしかありません。可哀そうなのは、そんな男の子供産んで妻になっているサンドラなのですが、それが、どうも、そうでもないようなのです。​​
​​ モラルドが街を去るのも、必ずしも、妹サンドラの不幸と、友人たちの無軌道に嫌気がさしたというより、どうなるかわからない、もう一つの青春を映し出していて、見ているこっち側が、ああ、あの頃から40年たったという感慨に浸ることになってしまうのでした。​​

​ なんだか、とてもバカバカしい映画であるにもかかわらず、妙に、胸に残る映画でした。
 やっぱり、フェリーニはいいですね。
​監督 フェデリコ・フェリーニ

原案 フェデリコ・フェリーニ エンニオ・フライアーノ トゥリオ・ピネッリ
脚本 フェデリコ・フェリーニ エンニオ・フライアーノ
撮影 オテッロ・マルテッリ
音楽 ニーノ・ロータ
フランコ・インテルレンギ(モラルド)
アルベルト・ソルディ(アルベルト)
フランコ・ファブリーツィ(ファウスト)
リカルド・フェリーニ(フェリーニの弟:リッカルド)
レオポルド・トリエステ(レオポルド)
レオノーラ・ルフォ(サンドラ:モラルドの妹・ファウストの妻)
ジャン・ブロシャール(ファウストの父)
クロード・ファレル(オルガ:アルベルトの姉)
カルロ・ロマーノ(ミケーレ:雇い主)
エンリコ・ビアリシオ(モラルドの父)
パオラ・ボルドーニ(モラルドの母)
1953年・107分・イタリア・フランス合作
原題「I Vitelloni」(雄牛)
2020・10・26元町映画館no58


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最終更新日  2023.10.29 23:12:34
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