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カテゴリ:映画 カナダの監督
ロバート・バドロー「ストックホルム・ケース」シネリーブル神戸
ボブ・ディランが劇中歌を歌っているのを予告編で見て、飛びつきました。まあ、とにかく、ディランの声がスクリーンから聞こえてくるということがうれしいじゃないですか(誰に呼びかけてるんでしょうね?)。 それにしても、チラシに出ている「新しい夜明け」と言い、「今夜はきみと: Tonight I'll Be Staying Here with You」といい、懐かしいのですが、ラブソングなのですよね。 でも、この映画、銀行強盗の話のはずなのですが・・・・。そんな気分でやって来たシネ・リーブルでした。見たのはロバート・バドロー「ストックホルム・ケース」です。 なんだか、アメリカっぽいオニーさんが、カーボーイ・ハットかなにかで登場しました。ピシッと決めている感じで、ディランの「新しい夜明け」かなんかを歌ったのか、聞こえてきたのかの気がします。 で、自動小銃を振り回しなら銀行強盗が始まりました。普段、予想もしない、まあ、ありえないことが起こるというのは、こういうテンポなのでしょうね。なんだかとてもノンビリしています。 自動小銃で威嚇したり、友人の釈放を要求したり、それらしい強面で頑張っているのですが、イーサン・ホークという俳優さん扮する強盗ラース君は、どうも、うまくいく感じが、全くありません。 なんとか人質をとって銀行に立てこもり、いやいや、こんなところに立てこもってどうするの、という展開で、最初の要求が女性の生理用品でした。この辺りまで、コミカルタッチで描かれていて、 「笑う」映画なのかなあ とか感じながら、なんだか笑えません。 「身につまされる」といういい方がありますが、この、なんというか、ラースという主人公の頼りなさが、他人ごととは思えないのです。 根本的に「悪意」が理解できないタイプの人の、過剰な無邪気さのようなものが、この男を包んでいて、おそらく、そこのところが人質であるはず銀行員の女性ビアンカやクララにも伝染する感じなのです。 もう、途中からは、人質も一緒に「銀行強盗団」になってしまう風情なのですが、犯人ラースに、その状況を疑う「悪意」が感じられないのですから、人質たちがそうなっても不思議な感じがしないのです。 で、とどのつまりは、「Tonight I'll Be Staying Here with You」というディランの曲の通りの成り行きで、まあ、訳せば「今夜はきみと一緒にいるよ」となってしまうのでした。 「クライム・スリラー」とチラシなんかでは宣伝しているのですから、当然、まさかの展開なのですが、「男と女」、「人と人」という関係で考えるなら、 「凡庸」で「普通」の結末だったと感じました。 むしろ、挿入歌として歌われているボブ・ディランの数曲の歌の歌詞そのままに映画が進行し、ディランの歌が、ラブ・ソングなのに、なぜか、悲しいように、 映画のラストも、ちょっと悲しい という所にこの映画のよさを感じました。 それにしても、人質だったビアンカが、事件の後、服役しているラースに面会するシーンで、スウェーデンの刑務所が映りますが、すごいですね。映画全体にも、そのニュアンスが漂い続けていますが、施設の雰囲気だけでなく、根っこにある 「罪」と「罰」の考え方の違いには、やはり、驚きました。 監督 ロバート・バドロー 原作 ダニエル・ラング 脚本 ロバート・バドロー 撮影 ブレンダン・ステイシー 美術 エイダン・ルルー 衣装 リア・カールソン 編集 リチャード・コモー 音楽 スティーブ・ロンドン 劇中歌 ボブ・ディラン キャスト イーサン・ホーク(ラース) ノオミ・ラパス(ビアンカ) マーク・ストロング(グンナー) ビー・サントス(クララ) 2018年・92分・カナダ・スウェーデン合作 原題:Stockholm 2020・11・09・シネリーブルno74 にほんブログ村 にほんブログ村 74 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.01 10:32:08
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