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カテゴリ:読書案内「近・現代詩歌」
辻征夫「突然の別れの日に」(「辻征夫詩集」岩波文庫)
突然の別れの日に 谷川俊太郎が編集している、岩波文庫版の「辻征夫詩集」を読みました。高橋源一郎の小説「日本文学盛衰史」(講談社文庫)を読んでいて、「きみがむこうから」という、作中に引用されていた詩が気になりました。あれこれ探しているのですが、今のところ見つかりません。 思潮社の「現代詩文庫」の最初のシリーズの「辻征夫詩集」に入っているようですが、その詩集が見つかりません。 で、岩波文庫版や、おなじ思潮社の「続・辻征夫詩集」とかを読んでいます。目的の詩は見つかりませんが、心に残る作品には出会います。 上に引用した「突然の別れの日に」という詩も、そんな詩の一つです。2000年に61歳の若さで去った詩人が、いったいいくつの頃、この詩を書いたのだろうと思います。 突然訪れた天使の余白に この詩も、引っかかりました。ぼくは66歳なのですが、「そのまま66歳になったような」気がするわけです。「おとなになった」のかどうか、仕事をやめて「大人になっていない」自分に、あらためて気づいて辟易するのですが、そういえば、我が家の子供たちは古田足日(ふるたたるひ)という人の「押入れのぼうけん」という絵本が好きでしたね。 子供が入って、部屋を覗くことができる「押し入れ」って、今でもあるのでしょうか。まあ、自分が今はいったらどうかなんて、同居人に叫ばれそうですからしませんが、いや、入ってみるのもありかもしれませんね。 今度はそのままどうなるのでしょう。 とりあえず、見つかったこの詩も挙げておきますが、岩波文庫版には入っていません。 きみがむこうから……六十代になって、毎夜、コタツに向かい酒をのむ。で、静かに目を閉じたまま眠りこんだりしている。生きる姿勢といえるようなものは何もない。でも、きみがむこうからくることは心待ちにしている。 追記2023・02・14 街を歩いていて、ふと、知人が乗った自動車が通り過ぎたような気がして、首をすくめた格好のまま振り返ったのですが、そこに、もう、自動車はいなくて、この詩を思い出しました。 一人で歩いていると、そんなことが時々あります。もう、この世の人ではないこともあるのですが、しようがありません。 で、記事を少し直しました。66歳の時に書いたことは直してはいませんが、もう、2年余りたったのですね。時間が勝手に通り過ぎていく日々です(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.02.14 22:25:53
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