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瀬々敬久「64 ロクヨン 前編・後編」こたつシネマ
2016年につくられた東宝映画「64ロクヨン」、前・後編240分の大作をテレビで見ました。横山秀夫の原作を映画化した作品でしたが、2012年だったでしょうか、発売されて評判になった原作「64ロクヨン(上・下)」(文春文庫)は、当時の本屋大賞だったと思いますが、その当時読みました。 ぼくは「半落ち」(講談社文庫)とか、特に「クライマーズハイ」(文春文庫)は面白かった記憶があるのですが、この作品を最後に横山秀夫を読まなくなった記憶があります。真犯人に至る、最初の被害者雨宮の設定に無理を感じたようなかすかな印象があります。 映画は、なんとなく前編を見始めた結果、案外引き込まれて、翌日の後編まで見てしまいました。4時間を超える大作を、居眠りもせず見たのですから 「おもしろかった!」 はずなのですが、話の筋よりも、佐藤浩市と緒方直人という、ともに名優の誉れ高い父親を持った二世俳優の、画面に映し出される顔に興味を持ちました。 特に、佐藤浩市くんの顔が、「飢餓海峡」の三国連太郎にとても似てきたというふうに感じたことが不思議でした。もっとも、三国連太郎について、そんなに覚えているわけではないのですが、例えば「釣りバカ日誌」に出ていても、 ああ、「飢餓海峡」の人ね と、勝手に決めつけているにすぎません。その結果でしょうか、何度見ても、ボクには釣りバカのスーさんが温厚な社長さんには見えないのです。 一方、緒方直人くんは、「砂の器」の緒形拳でも、「鬼畜」の緒形拳でも、「仕事人」の緒形拳でもないのですね。顔立ちはよく似ていると(親子ですからね)思うのですが、ちがいますね。 要するに、緒方直人くんの顔には、まだ内面を感じないということですね。もちろん、ぼくの勝手な感想ですよ。 役者の顔というのは、何なのでしょうね。ポスターには「目線」が強調された顔が並んでいますが、この方たちはどこを見ているのでしょうね。で、ぼくたちはここに並んでいる「顔」に何を見るのでしょう。 ところで、二日がかりで見た映画でしたが、とどのつまりでなんだかよくわかりませんでしたね。真犯人の娘が、父親の真実が赤裸々になる現場に居合わせるのですが、「父と娘」というこの映画で、もうひとつの、いや最も大切なテーマとして描かれてきたはずの視点の弱さがむき出しになってしまいました。で、ボクとしては えっなんで? と思わせるシーンがありました。 この少女に、映画の中のだれ一人絡まないのですね。これは酷いですね。主人公三上のいう 「ひとりで娘を探す」 という、なかなかなセリフが浮いてしまいました。 「なんで、あそこで、あの子をほったらかしにするの?そういう人たちを描いているわけ?馬鹿じゃないの。ごたいそうに。」 我が家の同居人はこんなひとことを言い捨てて、あっちにいってしまいました。ちょっと、返事のしようがなかったですね。 イヤ、ホント。二日がかりで見た4時間の大作だったのですが「慟哭」の文字が泣きますね。 監督 瀬々敬久 原作 横山秀夫 脚本 久松真一 瀬々敬久 撮影 斉藤幸一 照明 豊見山明長 録音 高田伸也 美術 磯見俊裕 装飾 柳澤武 編集 早野亮 音楽 村松崇継 主題歌 小田和正 キャスト 佐藤浩市(三上義信) 奥田瑛二(荒木田) 仲村トオル二(渡真治) 吉岡秀隆(幸田一樹) 永瀬正敏(雨宮芳男) 緒形直人(目崎正人) 三浦友和(松岡勝俊) 筒井道隆(柿沼) 綾野剛(諏訪) 榮倉奈々(美雲) 夏川結衣(三上美那子) 窪田正孝(日吉浩一郎) 金井勇太(蔵前) 鶴田真由(村串みずき) 赤井英和(望月) 永山瑛太(秋川瑛太) 椎名桔平(辻内欣司) 烏丸せつこ(日吉雅恵) 山崎ハコ 大久保鷹 前編 2016年・121分・G・日本 配給:東宝 2021・01・12こたつシネマ 後編 2016年・119分・日本 配給:東宝 2021・01・13こたつシネマ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.13 01:42:48
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