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カテゴリ:読書案内「社会・歴史・哲学・思想」
週刊読書案内 シモーヌ・ヴェイユ「ヴェイユの言葉」(冨原真弓訳・みすず書房) ぼくはこの本の「ことば」の主であるシモーヌ・ヴェイユという人について、ホントはよく知りません。
横文字で書けばSimone Weilです。1909年2月3日パリで生まれて、第二次大戦末期 1943年8月24日、イギリスのサナトリュームで息を引き取ります。直接の死因は結核による衰弱だそうで、34歳でした。 彼女が書き残した「カイエ」、ノートや論文が世界的な評価を受けるのは戦後のことだそうですが、ぼくが学生だった1970年代には「世界的な哲学者」の一人でした。 あの頃、名前が挙がる哲学者や思想家について、とりあえずぺらぺらと読んでみるというお調子者のミーハー学生の例にもれない、見せかけ読書の対象として「詩集」や「工場日記」など何冊か読んだ記憶はありますが、何も覚えていません。 それが、昨年、この本の訳者でもある冨原真弓さんの「ミンネのかけら ムーミン谷へとつづく道」(岩波書店)というエッセイ集を読んで気にかかり始めました。マア、そのあたりの経緯はともかく、図書館の棚でこの本を見つけて借りてきました。 これなら、のんびり読めそうだという目論見です。行ってしまえば「シモーヌ・ヴェイユ事始め」の一冊というわけです。 で、10ページも読まないうちに出会ったのが、こういうノートの一節でした。 誘惑の一覧表(毎朝読むこと) わたしはこれら五つの誘惑のどれからも自由ではないが、まったく克服できずにいる唯一の誘惑は怠惰である。二十五歳にもなってからでは遅きに失する。二十五か月で始めるべきだった。私の場合、怠惰はなによりもまず「時間」を考えたときの恐怖心を意味する―ある期日までにある義務をはたす、これが耐えられない(工場労働は気楽だった!)。 二十歳過ぎの女性の内省の言葉です。67歳の怠惰老人は、けた違いの「人間」に興味を持ってしまったようです。マア、しようがありません。ここから、彼女がどんな10年を生きるのか、まずは冨原真弓さんによる、ヴェイユ思想のダイジェスト版である「ヴェイユの言葉」に付き合ってみようと思います。 無事、読み続けられれば、時々、引用をお伝えできればと思っています。おたのしみに(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.08.03 00:12:40
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