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カテゴリ:映画 イタリアの監督
スザンナ・ニッキャレッリ「ミス・マルクス」シネ・リーブル神戸 予告編を見ていて「インターナショナル」が、ちょっとロック調な編曲で聞こえてきて「おっ、インターや」とか思ってやってきました。
この歌はフランス語では「L'Internationale」というそうですが、パリ・コミューンあたりで歌われ始めた歌だそうです。今年2021年の夏に見たのですが、スペイン市民戦争を舞台にした「ジョゼップ 戦場の画家」というアニメの中で「ワルシャワ労働歌」という歌が歌われていて、まあ、懐かしさの余りだと思いますが、思わず涙したのですが、二匹目のどじょうを狙ってやってきたというわけです。 カール・マルクス、この名前を聞いてワクワクするなんて言う人は、まあ、研究者ならいざ知らず、いくら若くても還暦ゴールを切った人ばかりだろうと思いますが、その中でも若いほうだと自賛しながら、結構ワクワクしてやってきました。 「マルクスの娘かあ!?あんまり幸せな人生だった気はしないなあ」 そういう関心もありました。 スザンナ・ニッキャレッリというイタリアの女性の監督の作品でした。映画の構成の骨として、ショパンのようなクラッシク音楽、インターナショナルのような労働歌、ダウンタウンボーイズが歌うロックミュージックの三通りの音楽を使っているところが独特でしたが、展開がパターン化してしまったという感じがしました。 問題の「インターナショナル」は、映画のなかでは伴奏なしで素朴に歌われていて、印象的ではあるのですがインパクトに欠けるきらいがあったと思いました。 映画は、例えば子供たちに重労働を課す、19世紀の「原」資本主義の社会に異議を唱える社会主義者「ミス・マルクス」の不幸を現代的なフェミニズムの観点から描いているところが新しいと思いました。 もっとも、彼女の周囲の「男性」たち、父マルクスから、夫エイブリングに至るまで、全員、立つ瀬なしというか、まあ、時代の人たちなのですが、そのことが、かえって1970年代の女性解放運動がすでに指摘していた問題が、何一つ解決していない「現代」を浮き彫りにしている印象でした。 ホント、どうなっているのでしょうね。 社会主義者として生きることを運命づけられているかに見える「ミス・マルクス」の孤独を美しく、気高く演じたロモーラ・ガライに拍手!でした。監督 スザンナ・ニッキャレッリ 脚本 スザンナ・ニッキャレッリ 撮影 クリステル・フォルニエ 美術 アレッサンドロ・バンヌッチ イゴール・ガブリエル 衣装 マッシモ・カンティーニ・パリーニ 音楽 ガット・チリエージャ・コントロ・イル・グランデ・フレッド ダウンタウン・ボーイズ キャスト ロモーラ・ガライ(エリノア・マルクス:マルクスの三女) パトリック・ケネディ(エドワード・エイヴリング:夫) ジョン・ゴードン・シンクレア(フリードリヒ・エンゲルス) フェリシティ・モンタギュー(ヘレーネ・デムート:マルクス家の家政婦) 2020年・107分・PG12・イタリア・ベルギー合作 原題「Miss Marx」 2021・10・15‐no95 シネ・リーブル神戸no123 Susanna Nicchiarelli 1975年、イタリア・ローマ生まれ。短編映画やドキュメンタリー映画を数本監督した後、2009年に『コズモナウタ 宇宙飛行士』で長編監督デビューを果たし、ヴェネツィア映画祭コントロカンポ・イタリアーノ部門で受賞、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で新人監督賞にノミネートされる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.21 12:17:53
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