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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2021.11.06
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​​​​​​​​​​週刊 読書案内 新庄耕「ニューカルマ」(集英社) ​​​
 一緒に「面白そうな本を読む会(?)」で集まって本を読んでいる人に二十代のジャーナリストの卵というか、ひよこのような方がいらっしゃるのですが、彼が提案した本がこの本、新庄耕「ニューカルマ」(集英社)でした。
 会の名前は、実はありませんが、長く続けていることもあって、会のメンバーの多くはぼくも含めて「時代」についていけていない傾向があるわけで、斬新な提案でした。​​

 で、勇んで読みましたが、不満だらけでした。
 ​震え続けている電話を操作し、耳に当てた。
 「あっ、ユウちゃん、久しぶり、俺、シュン」
 少年のそれを思わせる高い声が聞こえ、幼さの残る顔がうっすらと呼び起こされた。
 「ああ・・・・、なんだ、シュンか」
 平静を装って言ったつもりが、かえってわざとらしい口調になった。
 大学時代の同級生だった。初年度の必修科目のクラスで話すようになったが、専門課程に分かれてからは接点もなくなり、たまにキャンパスで会えば挨拶する程度の仲だった。最後に話したのはいつだったか、卒業から今日までの五年間、何の交流もない。
 「何度も電話しちゃってごめんね。いや、ユウちゃん、最近どうしてるかなって、ちょっと思って。」
 遠慮がちな相手の声が、通りを往来する車の走行音と重なる。​​(P6)​​
​​ まあ、こういう電話がかかってきて「ユウちゃん」「カルマ」が育ち始めるわけです。題名の「ニューカルマ」を見て、仏教用語だったような気がしましたが、読み終えて調べ直すと「業」ということらしいですね。​​
​ 20代後半の独身サラリーマンが、ぼくはよく知りませんでしたが、いわゆる「ネットワーク・ビジネス」にはまっていく話で、はまっていく「ユウちゃん」の一人称語りの「物語」です。​
 だから、どうしても「内面」というか「意識」の世界を物語ることになるのです。
 「みなさん、今はやりのネットワーク・ビジネスにはまっていく人間の内面って興味ありませんか?」
 作家は、そんなふうな誘いを囁きながら、凡庸な「内面」の変化をサスペンス仕立てで描くのです。

 そして、まあ、ネタバレのようですが、この作品はこんなふうに終わります。
 ​先程まで明るい光に満ちていたはずの外は、夕暮れとは思えぬほど暗く沈んでいる。窓辺に椅子を近づけて空を見ると、煙のようにくすんだ雲が折り重なり、むかいに立ちならぶ雑居ビルの頭上を覆いつくしている。
 しばらくの間、作業に戻ることも忘れ、重く垂れこめた黒い雲をながめた。
 デスクの上の携帯電話を手にとり、窓の外に視線を戻して耳に当てる。
 呼び出し音が鳴る。
 四コール目で、耳になじんだ声が聞こえた。短い沈黙のあとで、僕は口を開いた。
 「タケシ、話があるんだ」​(P258~259)
​ ​この小説はここで終わりますから、この電話で「ユウちゃん」が、親友(?)「タケシ」に何を語ろうとしているのかわかりません。おそらく作家は
 「ここから先は、読者に想像していただきたい、想像の根拠になる、電話の主ユウちゃんの内面についてはすべて書き込みました」
 とおっしゃりたいわけですが、果たして「書き込まれているのか」「想像が可能なのか」と考えると少々心もとないですね。ただ、携帯電話で始まった人間関係の描写が、やはり電話で終えられるところが、いかにもこの作品の描いている関係性を象徴しているようで興味深いですね。​

​​ ついでに、付け加えると、この主人公のイメージが、この単行本のカバーの写真の男のような人物であるということが、作品が描く物語に「先行」なのか、「追加」なのか、ともかく情報として載せられている製本レイアウトなのですが、残念ながら、こんな男はこの作品のどこにもいなかったような印象しか持つ事はできませんでした。
 で、もう一度、ただ、なのですが、ただ、凡庸で臆病で正直な青年が、知らず知らずのうちに、こんな顔を、その内面に持ち始めるということの暗示なのかもしれません。それはそれでリアルといえばリアルなのですが、少しやりすぎな感じもしました。​​

 まあ、そんな、実もふたもない感想だったのですが、そんなことをノンビリしゃべりあっているときにしゃべってくれた、この本を紹介してくれた青年の感想は驚きでした。
 かなり長い感想を聞かせてくれたのですが、勝手に要約するとこんな感じでした。
 10年ほど前、不況のときに、小林多喜二の『蟹工船』が流行りました。『ニューカルマ』は、現代の蟹工船ではないか。ただ、冷戦が終わり、共産主義、社会主義への理想も語れない世代なので、労働者は団結するどころか、お互いを食い合うしかない。そういう、リアリティーを持った小説でした。
 というわけで、ニューカルマは、僕にとってはめちゃくちゃリアリティーありました。知り合いにも、ネットワークビジネスをやってるような友人もいて。やたら金の羽振り良くて。怖くてどんな職業かは聞けません。
 三宮とか、大阪のなんばとか、その辺の喫茶店、マクドナルドなどに長時間いれば、割と頻繁に、ネットワークビジネスの勧誘に遭遇します。日中、お昼すぎくらいですね。
 青年のこの感想には、ぼくなどには、全く気付けない視点というか、現代社会に対する「生な実感」があって、その感覚からこの作品を読むと、かなりリアルな実況中継というか、ある種の情報小説として読めるということです。
 気にかかったので、ゆかいな仲間ピーチ姫に聞いてみると、彼女も二十代の後半なのですが
 「そうだよ。身近にあるよ。そういう話。」
 と一言で片づけられて、あっけにとられる始末でした。

 というわけで、新しい書き手の作品を読む心得云々以前に、なんとなく殺伐とした「現代社会の実相」の一面を教えられ、ちょっとオロオロしました。
 今や、終末期資本主義とでもいうべき、とんでもない時代が始まっているのかもしれません。いやはや、何とも、どうなるのでしょうね。

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最終更新日  2021.11.06 00:15:19
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