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カテゴリ:映画 香港・中国・台湾の監督
ソンタルジャ「草原の河」元町映画館 「映画で旅する世界」の特集で見た2本目のチベット映画です。ソンタルジャというチベットの監督の「草原の河」という作品です。
見終えて、邦題の「草原」はいらないと思いました。チベットとかモンゴルとの映画には「草原の」と枕詞をつけると・・・、という感じなのでしょうが、監督の原題が「河」とエンドロールで出てくるのを見ながら、「なんだかなあ」という気分になりました。 5歳くらいでしょうか。上のポスターに後ろ姿で映っている少女、ヤンチェン・ラモちゃんのお母さんは、二人目の赤ちゃんを身ごもっています。ラモちゃんは、このところお母さんのおっぱいが恋しくてなりません。で、こうやって遠くの山を眺めていたりします。 お母さんは、畑に麦撒きをしながら「こうして土に埋めておけば春になったらたくさんの麦になるのよ。」とラモちゃんに教えます。それを聞いたラモちゃんは、大切はクマのぬいぐるみを、こっそり土に埋めて、たくさんのクマさんになるよう祈ります。 ある日、オオカミがおうちの近所にやってきて、放牧しているヤギさんたちを襲います。で、子ヤギさんのお母さんが食べられててしまいました。残された子ヤギさんは、おうちの近くの柵の中で飼うことになりました。 で、ラモちゃんは、一人ぼっちになってしまった子ヤギさんと仲良くなります。まだ、小さいラモちゃんですが、友だちになった子ヤギさんにおっぱいをあげたり、柵で囲ってオオカミから守ったり、一生懸命世話をします。なのに、父さんは、子ヤギさんを他のヤギさんたちの群れに追い返します。で、おおぜいの仲間についていけない子ヤギさんははぐれヤギになってしまい・・・・。 チベットの草原の、厳しくも、豊かで美しい自然や、縺れたり、切れ切れになったり、もう一度結び直したりする家族の絆を5歳の少女の目を通して描いている映画でした。 出会うと、すぐにいじめたりからかったりしてくる近所の男の子たちとか、大好きなおっぱいをラモちゃんから取り上げる原因らしい、お母さんのおなかの赤ちゃんのこととか、オジーちゃんのことをいつも悪く言いうお父さんとか、ラモちゃんにも悲しいことや辛いこと言はたくさんあります。 中でも、お父さんがラモちゃんをオートバイに乗せて、山で修行しているオジーちゃんの所に連れて行ってくれたときに、自分は会おうとしないばかりか、お母さんが用意してくれたお土産の麦こがしを捨ててしまったことを、お母さんには黙っているように言ったりするのはわけが分かりません。 家族と別れ、河の向こうの山の洞窟に住んで、村の人たちからは「立派な行者」として尊敬されているオジーちゃんですが、お父さんは死にそうになっていたオバーちゃんに冷たかったオジーちゃんを許すことが出来ないらしいのです。 まあ、こんなふうに書いていくと、延々と書くことがあるのですが、映画の終わりになって、そんなお父さんとオジーちゃんのあいだに立ったラモちゃんが「春になったら、お母さんの新しい赤ちゃんや、ぬいぐるみのクマさんの赤ちゃんたちが、みんな生まれてくるよ。」と、二人の仲直りをとりなすかのようなシーンの美しさは忘れられないシーンになりそうでした。 ラモちゃんを演じたヤンチェン・ラモさんは上海の映画祭で主演女優賞をとったそうですが、さもありなんという存在感としぐさや表情でした。イヤ、ホント拍手!するしかないですね。 監督 ソンタルジャ 脚本 ソンタルジャ 撮影 ワン・モン 美術 タクツェ・トンドゥプ 音楽 ドゥッカル・ツェラン エンドタイトル音楽 ダンゼン・チージャ キャスト お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.06.05 23:29:01
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