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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2021.12.14
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​​ペマ・ツェテン「オールド・ドッグ」元町映画館         ​​​映画.com
​​ ​「老人と犬」​の話でした。​チベタン・マスティフ​という希少種だそうで、映画の彼(?)は、なかなか愛嬌のある大型犬でした。老人は草原で犬とともに生涯遊牧で暮らしてきた頑固者です。映画は​「オールド・ドッグ」​。監督は最近​「羊飼いと風船」​という作品を見た​​​ペマ・ツェテン​です。​
 「犬が売れる」というのが、雄大なチベット高原に、ふもとから吹き上げてきた「現代社会」の風でした。老人に言わせると「バカ息子」である青年がオートバイに乗り、綱で引いた老人の愛犬を町の業者に売りに行くところから映画は始まりました。
 1000元が2000元に、親戚の警官があいだに入ると3000元になりました。1元が10円から15円くらいでしょうから、1万円から5万円くらいでしょうか。
 放牧暮らしの老父の愛犬を小遣い稼ぎに売り払おうという目論見ですが、事情知った老人が馬に乗って犬をとり返しに行きます。
 で、この乗馬姿が「かっこいいのなんのって」と感心していると、今度はイヌ泥棒はやって来るわ、別口でやって来た新しい買い手は1万元、2万元と桁違いの値段を吹っかけてくるわ、老人の老犬をめぐって大わらわなのですが、さて老人はどうしたのか? 
 ​まず、老犬を山に逃がそうとします。山といってもただの山ではありません。チベット高原の背後にそびえる山岳です。ところが、逃がしたはずの愛犬は犬泥棒の手に落ちます。老人は、またしても、馬に乗ってとり返しに出かけます。​
 今度は大金をちらつかせて、買い取りたいという男があらわれます。金額の桁が違います。しかし、老人は、有無を言わせず拒絶します。
 このところ老人が気にかけているのは息子夫婦の間に子供ができないことです。息子の妻が病院から帰宅し、自分には問題がないらしいことを老人に告げます。そんなやりとりががあった天気の良い昼下がりのシーンです。            ​映画.com
 草原に老人と老犬の姿があります。この一人と一匹のあいだにどんな会話がかわされたのか、それはわかりません。
 おもむろに立ち上がった老人は、犬の首につけた綱を手にとり歩き始めます。老犬は素直に従います。やがて、老人は放牧地の柵の柱に綱をかけ、力いっぱい引き絞っていきます。老犬は一声も上げずぐったりとなったようです。

 映画はそこで終わったと思いますが、よく覚えていません。もう一度チベット高原の遠景が映し出されたかもしれません。
​ 老人が愛犬とチベットの自然の中で暮らしてきた「誇り高き」生涯が、見ているぼくの胸に「ドーン」と投げ込まれたようなズッシリしたものを感じました。
 頑固一徹な​老人(ロチ)​と愛嬌のある​チベット犬​​拍手!​

監督 ペマ・ツェテン
製作 サンジェ・ジャンツォ
脚本 ペマ・ツェテンてんきのよい
撮影 ソンタルジャ
音楽 ドゥッカル・ツェラン
キャスト
ロチ(老父)
ドルマキャプ(息子)
タムディンツォ(息子の妻)

2011年・88分・中国
原題「老狗Old Dog」no96
​​2021・11・02・no103・元町映画館​​​​no96​

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最終更新日  2024.06.06 10:02:09
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