ロベルト・ロッセリーニ「イタリア旅行」元町映画館
「現代アートハウス入門 vol 2」の第7夜、最終回のプログラムはロベルト・ロッセリーニ監督の「イタリア旅行」でした。プログラムを見た最初から「これは!」という気合で見る予定でした。1953年の作品ですが、ロッセリーニ監督が奥さん(?)のイングリッド・バーグマンを撮った作品です。
イングリッド・バーグマンは40年前に映画に熱中していたころ何本か見たなという程度で、最近お目にかかった記憶はありません。そりゃあそうですね80年代には亡くなっていらっしゃるわけですから。そういえば、この映画のころに、彼女はロッセリーニの奥さんだったはずですが、記憶違いですかね。
映画は、ヘンテコな印象の作品でしたね。ゴダールだかが、「自動車と二人の男女とがいれば映画は撮れる」とかいったそう、ホントにそんな映画でした。
自動車に二人の人間が乗っていて、どこかを旅している様子ですが、運転している女性はサングラスをしていて前方を見ています。助手席の男は寝ているようです。自動車からホテルに移っても、二人の視線というか、見ているものがちぐはぐで、見ていてオロオロする気分でした。なんか旧婚旅行のようなのですが、いやはや、これは大変だという様子です。
二人とも、見ているものと見ようとしているものがチグハグなのですが、目と心がズレていることを見せて、人と人がすれ違いあっている様子を見事に映し出していました。凄いものです。
まあ、何年も連れ添うということが理解を深めるのではなくて、諦めを納得するというのが男と女なのかもしれませんが、それにしても殺伐としたというか、若い人が見るとどう思うのかなという展開でしたが、まあ、とどのつまりはどうなるのかは見てのお楽しみですね(笑)。自分の「奥さん」にこんな夫婦関係を演じさせるとはさすがロッセリーニですね。
そのロッセリーニ監督の勇気と、理知的な美貌で、不安といら立ちを見事に演じたイングリッド・バーグマンに拍手!でした。
それにしても美しい人ですねえ(笑)。
監督 ロベルト・ロッセリーニ
脚本 ヴィタリアーノ・ブランカーティ ロベルト・ロッセリーニ
音楽 レンツォ・ロッセリーニ
撮影 エンツォ・セラフィン
編集 ジョランダ・ベンヴェヌーティ
衣装 フェルナンダ・ガッティノーニ
キャスト
イングリッド・バーグマン(キャサリン・ジョイス)
ジョージ・サンダース(アレクサンダー・夫)マリア・モーバン(マリー)
アンナ・プロクレメル(娼婦)
パウル・ミュラー(ポール・デュモン)
1953年・83分・イタリア
原題「Viaggio in Italia」
2021・12・17‐no133・元町映画館(no109)