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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2022.04.12
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​​​​​​​​​​ 西東三鬼「神戸・続神戸」(​新潮文庫​)​
 ​奇妙なエジプト人の話
 昭和十七年の冬、私は単身、東京の何もかもから脱走した。そしてある日の夕方、神戸の坂道を下りていた。街の背後の山に吹き上げてくる海風は寒かったが、私は私自身の東京の歴史から解放されたことで、胸ふくらむおもいであった。その晩のうちに是非、手ごろなアパートを探さねばならない。東京の経験では、バーに行けば必ずアパート住まいの女がいるはずである。私は外套の襟を立てて、ゆっくり坂を下りて行った。その前を、どこの横町から出てきたのか、バーに働いていそうな女が寒そうに急いでいた。私は両県のように彼女を尾行した。彼女は果たして三宮駅の近くのバーへ入ったので、私もそのままバーへはいって行った。そして一時間後にはアパートを兼ねたホテルを、その女から教わったのである。
 それは奇妙なホテルであった。(P9~P10)​​
​​​​「昭和17年冬」「東京からの脱走」​「襟を立てた外套」​​「バーの女」​、何やら江戸川乱歩の登場人物あたりを彷彿とさせて、なんというか、探偵小説か悪漢映画の主役の登場というふうな書き出しなのですが、一つだけ「はアー?」と思わせる「胸のふくらむおもいであった」で脱臼させられて、「こりゃ、ちゃうな」というところに作者がいるようです。​​​
​​​ 昭和29年(1954)から「俳句」(角川書店)という雑誌に連載された、俳人西東三鬼が神戸時代の思い出を綴ったエッセイ(?)「神戸」第一話「奇妙なエジプト人」の書き出しです。​​​
​​ 友人にすすめられて読み始めて、「胸のふくらむおもいであった」あたりで、これが西東三鬼という人の「俳味」なのだろうと当てずっぽうをかまして読んでいたのですが、続けてこんな話が出てきて絶句しました。
 ​​​​その窓の下には、三日に一度位、不思議な狂人が現れた。見たところ長身の普通のルンペンだが、彼は気に入りの場所に来ると、寒風が吹きまくっている時でも、身の回りのものを全部脱ぎ捨て、六尺褌一本の姿となって腕を組み、天を仰いで棒立ちとなり、左の踵を軸にして、そのままの位置で小刻みに体を廻転し始める。生きた独楽のように、グルグルグルグルと彼は廻転する。天を仰いだ彼の眼と、窓から見下ろす私の眼が合うと、彼は「今日は」と挨拶した。(P11)
​ ​もうやめられません。この後、この「普通のルンペン」とのやり取りこんなふうに続きます。​
 私は彼に、何故そのようにグルグル廻転するのか訊いてみた。「こうすると乱れた心が静まるのです」と彼の答えは大変物静かであった。寒くはないかと訊くと「熱いからだを冷ますのです」という。つまり彼は、私達もそうしたい事を唯一人実行しているのであった。彼は時々「あんたもここへ下りてきてやってみませんか」と礼儀正しく勧誘してくれたが、私はあいかわらず、窓に頬杖をついたままであった。
 彼が二十分位も回転運動を試みて、静かに襤褸をまとって立ち去った後は、ヨハネの去った荒野の趣であった。それから二年後には、彼の気に入りの場所に、てんから無数の火の玉が降り、数万の市民が裸にされて、キリキリ舞したのである。(P12)
​ ​​​​いかがでしょう、この章の題は「奇妙なエジプト人の話」なのです。要するに、この話は、落語でいえばなのですね。その「普通のルンペン」がこうなのです。「奇妙な」、その上、当時、「敵性国人」として監視対象だった「エジプト人」の話はいったいどうなるのでしょう。というわけで、あとはどこかで本書を手にとっていただくしか仕様がなさそうですね。​​​​
​ ところで西東三鬼という人ですが、要するに、ちょっとぶっ飛んでいるのですが、一方では、五七五では収まりそうもない大きな世界をどこかでを感じさせてくれる人でもあります。​
​​水枕ガバリと寒い海がある​
​​ こんな句が高校の国語の教科書に出てくることもあって、よく知られていますが、こんな句もあります。
​つらら太りほういほういと泣き男

秋の暮れ大魚の骨を海が引く​​
​ 最近、小沢實という人の「名句の所以」(毎日新聞出版)という本で見かけて、ハッとした句です。​「神戸」では、ただの世話焼きのおっさんとして登場するのですが、戦争末期から戦後のどさくさの神戸の町で生きる奇妙奇天烈な隣人たちの世界を、神戸の町ごと壺中の天に抱え込んでいる方術士というのは、ちょっとほめ過ぎでしょうか。まあ、そんなところがあると思います。​
 とくに、震災以前の古い神戸をご存知の方には、特におすすめです。乞うご購読!(笑)


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最終更新日  2022.04.12 00:15:24
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