|
カテゴリ:映画 スペイン・ポルトガルの監督
ルイス・ブニュエル「欲望のあいまいな対象」元町映画館
同じ女性の「今、この時」を二人の女優で演じる意味は何?やっぱりそう考えてしまいますが、意味なんてないということらしいです。そういうわけで、やっぱりブニュエルでしたね(笑)。 見たのはルイス・ブニュエルの「欲望のあいまいな対象」でした。「ルイス・ブニュエル監督特集―男と女」の5本目です。ここまで、面白いのかつまらないのか、見ていて判断がつかない作品ばかりでしたが、これまた同様に、「なんじゃこれ?!」でした(笑)。 題名が「欲望のあいまいな対象」なのですが、今回の特集ですっかりおなじみになったフェルナンド・レイ扮するマチュー・ファベールというお金持ちの男性の「欲望」は「あいまい」でもなんでもないですね。むしろ「率直」そのもので、見ていてアホらしいようなものなんですが、問題は、そのお相手であるコンチータという女性ですね。二人一役で、キャロル・ブーケとアンヘラ・モリーナという二人の女優さんが交互に登場しますが、途中で、どっちがどっちだったのか違いが判らなくなりました。 ようするに、ぼくはマチューと同じで、そこに「対象」としての「誰か」なり、「なにか」があればなんだっていいわけですね(笑)。そのあたりに関しては、いい年にまで、あれこれ生きてきたはずなのですが、結局、赤んぼうの「おしゃぶり」から、それほど成長しているわけじゃないのでしょうかね。 まあ、大人的にいえば、欲望は対象なんて見ていない、まあ、自分勝手な明確さで、自分の中にあるのだということなのでしょうかね。フロイトとか持ち出してあれこれ言う人がいそうな話でしたが、この年になって、そういうことを見せられても「ああ、そうだよな。そういってしまえば、そこで起こる関係性とかどうなるのかね。それをぶっ飛ばしてしまって、身もふたもないけど。」とかなんとか、のんびりした諦めのようなものが浮かんでくるようなもので、格別、驚いたり、恐れ入ったりするわけでもありませんでした。 それにしても、映画の構成のうまさは格別で、長距離列車のコンパートメントで語られるヒマつぶしの身の上話で引っ張るだけ引っぱって、最後はドカン!なのですから、小理屈をこねるより、面白がるのが筋でしょうね。 大人たちが盛り上がっている艶笑噺に、子どもが首をつっこみたがるシーンが面白いですね。自分は面白がって、興味津々なのに、子どもには「あんたたちが聞かせる噺ではない、」と母親だったかが叱りますが、「あんたたちこそ知っておくべき話」だったのかもしれませんね。 いやはや、またしても煙にまかれたルイス・ブニュエルに拍手!でした。 監督 ルイス・ブニュエル 製作 セルジュ・シルベルマン 原作 ピエール・ルイス 脚本 ルイス・ブニュエル ジャン=クロード・カリエール 撮影 エドモン・リシャール 美術 ピエール・ギュフロワ 編集 エレーヌ・プレミアニコフ 音楽 ワーグナー キャスト フェルナンド・レイ(マチュー・ファベール) キャロル・ブーケ(コンチータ) アンヘラ・モリーナ(コンチータ)アンヘラ・モリーナ ジュリアン・ベルトー(エドワール)ジュリアン・ベルトー アンドレ・ヴェベール(判事マルタン) ミレナ・ブコティッチ(パリに帰る婦人) 1977年・104分・G・フランス・スペイン合作 原題「Cet obscur objet du desir」 日本初公開1984年11月3日 2022・05・27-no74・元町映画館no127 追記2022・06・29 今回の「ルイス・ブニュエル監督特集―男と女」という特集は6本立てだったのですが、確か「自由の幻想」だったかは見損ねました。格別、映画史的興味があるわけではありませんが、見始めたら完走したいという、子供じみた欲望に突き動かされて、映画館に通うのですが、カレンダーの読み間違いで見損ねました(笑)。 スペインとかフランスとかを舞台にした映画なのですが、60年代から80年代の「日本」の、文化の世相というか社会のムードを思い出して面白かったですね。四方田犬彦とかが新進気鋭の時代だったのです。まあ、結構かぶれましたが(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.21 23:58:22
コメント(0) | コメントを書く
[映画 スペイン・ポルトガルの監督] カテゴリの最新記事
|