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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2022.07.01
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チェン・カイコー陳凱歌「さらば、わが愛 覇王別姫」(1)Cinema Kobe 歌舞伎浄瑠璃もちゃんと見たことがありません。中国の古典劇京劇も、たった一度だけ、北京だったかの劇場なのかレストランなのかよく分からない会場で見たことがありますが、演目なんて全く覚えていません。
​​​ その京劇のスター役者二人を主人公にした中国映画を観ました。チェン・カイコー陳凱歌監督「さらば、わが愛 覇王別姫」です。1993年中国映画で、翌年1994年カンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝いた作品だそうです。映画が始まって、しばらくして、覇王別姫という題名が、史記項羽本紀中の四面楚歌を元ネタにしたの英雄項羽と愛妾虞美人の別れを描いた、京劇の、いわば十八番の一つであることに、ようやく気づきました。​​​
​​​ 大きな劇場のうすボンヤリとした舞台の上に二人の人間が歩み寄って立ち、舞台の奥からアナウンスの声が聞こえて、二人が名のある役者であることが伝えられ、舞台の照明が灯されます。覇王虞美人異形の装束がクローズアップされて映画が始まりました。​​​
 シーンは一転し、街角で芸を見せ、投げ銭を求める京劇一座と、それを興味深げに見つめる子ども抱いた女性が映し出されます。女は遊女で、子どもは片方の手に指が六本ある私生児でした。
 女性は子供の余分の指を包丁で切り落とし、街角で芸を売る京劇の一座に捨て去るまでの、始まりのシーンで鷲づかみされました。
​​ 捨てられた少年(少女だとばかり思うほどかわいらしい)小豆子が、虐待まがいのというより、ただの虐待ですが、打たれ、殴られるという、折檻の繰り返しの中で鍛えられる一座で訓練されている少年たちの仲間に入り、頭突きの芸で拍手をとる、なかなか男らしい少年小石頭を兄と慕いはじめます。​​
 まあ、こんなふうに語り始めるときりがありません。有名な映画です。ぼくが初めて見るだけで皆さんご存知でしょう。
​​​​​ 小石頭小豆子という二人の少年が、段小楼(チャン・フォンイー張豊毅)程蝶衣(レスリー・チャン張國榮)と名乗る人気コンビ役者に成長し、1930年代から1980年代までの、まさに激動の中国現代史の50年を、古めかしい伝統芸能、京劇の舞台で覇王と虞美人を演じるスターとして歩む悲劇を描いていました。​​​​​
​​​​​ 誰も客のいない舞台の中央で、虞美人(程蝶衣)覇王(段小楼)の腰の名刀に手をかけ自らの首をはねようとする最後のシーンで、小豆子が一座を脱走し役者になることに目覚めたあの日に、ともに脱走しながら、仲間の折檻の責任をとって自ら命を絶った小癩子の姿のシーンや、段小楼ドァン・シャオロウを愛しながら、文化大革命の最中、紅衛兵の追及の中で程蝶衣段小楼​に裏切られ、同じく命を絶った菊仙ジューシェン(コン・リー鞏俐)の姿のシーンが頭に浮かんできました。​​​​​​
 人間の「愛」「夢」の、その奥にある、限りなくイノセントでナイーブなの美しさと哀れさを重層的に描いた傑作だと思いました。
​ まずは、小豆子、小石頭、小癩子を演じた少年たちに拍手!。​
​ お次は、史記に書き残こされた歴史悲劇を、京劇という芸能の世界と激動の現代史に重ね合わせ、見事に立体化して見せた監督チェン・カイコー陳凱歌拍手!。​
​​ そして、レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リーという、まあ、三人の主役たちの中ではチャン・フォンイーという役者さんがいいなと思いましたが、三人とも拍手!ですね。​​
 いやー、見事なものですね。172分、堪能しました(笑)。
監督 チェン・カイコー陳凱歌
原作 リー・ピクワー李 碧華
脚本 チェン・カイコー  リー・ピクワー
撮影 クー・チャンウェイ
音楽 チャオ・チーピン
キャスト
レスリー・チャン張國榮(程蝶衣チェン・ディエイー)
チャン・フォンイー張豊毅(段小楼ドァン・シャオロウ)
コン・リー鞏俐(菊仙ジューシェン)
フェイ・カン
チー・イートン
マー・ミンウェイ
イン・チー
フェイ・ヤン
チャオ・ハイロン
1993年第46回カンヌ国際映画祭パルム・ドール
1993年・172分・中国・香港・台湾合作
原題「覇王別姫」「 Farewell My Concubine」
日本初公開1994年2月11日
2022・06・29・no88・Cinema Kobe no8​​​​

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最終更新日  2023.09.30 11:12:33
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