エリザ・カパイ「これは君の闘争だ」元町映画館
ブラジルの高校生が「市バス(?)料金値上げ」反対闘争に参加したことを契機に、どんどん頑張って、公立高校の統廃合に反対して、通学している学校を占拠するという、まあ、かなり過激な戦いへと進化(?)、深化(?)していく自分たちの姿を記録した映画でした。見たのはエリザ・カバイ監督のドキュメンタリー「これは君の闘争だ」です。
「バス代値上げは困る。」というところから始まった行動が、参加した高校生の思想を深化させ、行動をより組織的、計画的に激化させていく過程が、実に、心地よい映画でした。
客はたった三人の、ちょっと寂しい映画館でしたが、久しぶりに「造反有理」なんていう、今となっては、ちょっと危ない言葉を思い出したりして、「イギナーシ!」とか、声に出しそうな、久しぶりの高揚感を感じながらで見ていた前半でした。
目の前の現実にカチン!ときて、行動し始めた若い人にとって、彼らを子ども扱いして、たとえば、ぼくのようなジジイが、考えが浅いとかなんとか、おためごかしに忠告したり、叱りつけてくるわけですが、そういう輩はすべて「旧体制」・「保守主義者」なわけですから、反抗は正しい。まあ、そんな気分まずあるのですが、一方で、「この戦いは、永遠に勝てないんだよな。」という、絶望的な詠嘆というか、諦めというかを感じないわけにはいかない年齢でもあるわけで、前半の高ぶりは消えて「結局、どう負けるのだろう?」という、実にジジくさい目で見た後半でした(笑)。
バス代の頃は、子ども扱いの猫なで声で相手していた警官隊も、やがて、彼らを大人扱いしはじめ、容赦ない暴力を振るい始めますし、反抗する子供に困惑していた大人たちは、なんと、ファシストと呼ぶのがふさわしい人物を大統領を選んで事態の収拾を図ります。 貧困や格差がクローズアップされた社会での「大人たち」のやることのたちの悪さは、なんだか、全世界的に共通しているようです。
結果的に、彼らに出来たのは事実の記録としてこの映画を残すことだったようです。ブラジルは、今年2022年が大統領選挙の年だそうですが、若い彼らが、今度はどんな行動をするのか、ちょっと、期待してしまいますね。
というわけで、堂々と頑張って闘った高校生たちに拍手!でした。
監督 エリザ・カパイ
製作 アリアナ・ジェネスカ
脚本 エリザ・カパイ
撮影 エリザ・カパイ ブルーノ・ミランダ
編集 エリザ・カパイ ユリ・アマラウ
音楽 Decio 7
ナレーション
ルーカス・“コカ”・ペンチアド
マルセラ・ジェズス
ナヤラ・スーザ
2019年・93分・ブラジル
原題「Espero tua (Re)volta」
2022・07・05-no89・元町映画館no137