ピエール・フォルデス「めくらやなぎと眠る女」元町映画館no256
ピエール・フォルデス「めくらやなぎと眠る女」元町映画館 まあ、なにはともあれ村上春樹の原作のアニメ化というわけですから見ないわけにはいきません。先週から始まっていましたが、上映時間が遅いのでパスして、今週になってお昼過ぎの上映なので出かけました。 見たのはピエール・フォルデスという監督のアニメーション映画、「めくらやなぎと眠る女」です。もちろん、原作は村上春樹、英語版だと思っていたら、英語版は先週で終わりで、日本語版でした。 で、どうだったか?一応、合格!でした(笑)。 ちょっとエラそうな云い方ですが、ここ、数年の間に撮られた村上春樹原作の映画化作品が、なんだかなあ? の連続だったことを思えば、上出来でした。まあ、ボクの場合、大昔の「風の歌を聴け」あたりが、何も覚えていないにもかかわらず、よかったな! なわけで、あてになりませんが(笑) で、このアニメですが、聴いたことのある声の日本語で繰り広げられるエピソードや登場人物たちには、声だけではなくて、その内容にも何となく覚えがあって、はあ、そうですか、という気分で見ていましたが、小村さんの奥さんのキョウコさんが、2011年の震災のシーンに取りつかれるのを見ていて、そうでしたっけ?とか、カエルくんが救うのは神戸の震災の直後の逸話だったんじゃなかったっけ?、とか思ったりしながら見終えました。 この映画が「かえるくん、東京を救う」、「バースデイ・ガール」、「かいつぶり」、「ねじまき鳥と火曜日の女たち」、「UFOが釧路に降りる」、「めくらやなぎと、眠る女」 という、六つの短編の組み合わせでできているのを帰って来て知りましたが、どの作品も、東北の震災以前の作品で、ボクの訝しがりは、そう的外れではなかったようなのですが、まあ、2022年制作ですから、こうなりますよねと腑に落ちました。 で、そうはいいながらも白けなかった、最大の理由は最初と最後の闇のシーンでした。そうなんです、村上君は、こうやって降りていくんです。地下2階ですね! まあ、もうそれだけで、「よし、そう!そう!この監督は信用できる!」 という感じで頷きながら見入っていましたが、アニメだから、直接それが描けるんですよね。 で、とどのつまりには、たとえば、引っ越し荷物から出てきた、行方不明だったネコの「ワタナベクン」とか、正気に戻った(?)片桐さんの膝の上にある「アンナ・カレーニナ」とか、地下2階から、帰ってきたのか、持ち帰ったかの小道具が「ここはどこ?キミはだれ?」 と問いかけて終わるのがハルキワールドなわけですから、合格!なわけです(笑)。というわけで、拍手!でした。 久しぶりの雨模様の元町映画館だったのですが、神戸は、やはり村上春樹の街だからでしょうか、思いのほかお客さんがいらっしゃっていましたね。まあ、それはうれしいのですが、お若い方の姿がほとんどなかったのはさびしいですね。二十代の方たちって村上春樹なんて、もう読まないんでしょうかね?70越えた老人が、出てきた話を全部知ってたとか、一人で喜んでいるんですけど、考えてみれば変ですね(笑)。 ああ、それから、もう一つ面白かったのは登場人物たちの絵柄ですね。日本のアニメとちょっと違っていて、だからでしょうか、妙に日本人!という感じでした。中でも小村君の顔が、どことなく村上春樹に似ていたのは笑えましたが、そう思うのはボクだけですかね?監督・脚本 ピエール・フォルデス原作 村上春樹日本語版演出 深田晃司日本語版翻訳協力 柴田元幸日本語版音響監督 臼井勝日本語版監修 ピエール・フォルデス字幕版キャストライアン・ボンマリートショシャーナ・ビルダーマルセロ・アロヨスコット・ハンフリーアーサー・ホールデンピエール・フォルデス日本語版吹き替えキャスト磯村勇斗(小村)玄理(キョウコ)塚本晋也(片桐)古舘寛治(カエルくん)木竜麻生(シマオ)川島鈴遥(少女)梅谷祐成(ジュンペイ)岩瀬亮(佐々木)内田慈(ケイコ)戸井勝海(鈴木)平田満(ケン)柄本明(キョウコの元バイト先のオーナー)2022年・109分・PG12・フランス・ルクセンブルク・カナダ・オランダ合作原題「Saules Aveugles, Femme Endormie」2024・08・19・no107・元町映画館no256追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)