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カテゴリ:読書案内「近・現代詩歌」
坪内稔典「季語集」(岩波新書)
時候 坪内稔典という俳人の「季語集」(岩波新書)という、歳時記、エッセイ集、いや、季語集を読んでいます。日々欠かすことのできない「某所」での読書にぴったりです。 1ページ400字、俳句で言う、季語が必ず一つ、最後にその季語の句が2句、江戸以前の古典句と近代以降の現代句が一句ずつ添えられています。マア、季語によっては現代句ばかりの場合もあります。1ページ読み終えるのに、10分も座らなくても大丈夫です。 全部で、300余りの季語について、400字のエッセイという短さには訳があります。「季語を楽しむ」という前書きの中で作者自身がこう説明しています。 この本は毎日新聞に1991年12月より連載した「新季語拾遺」「稔典版今様歳時記」がもとになっており、後者は現在も連載が続いている。その連載は1回分が400字であり、その字数でいかに書くかに私は苦心した。(P7) という訳で、この前書きの文章が書かれたのは、この本が出版された2006年らしいのですが、15年以上続いた人気コラムの書籍化というわけです。新聞に載っていたのが30年前、出版されたのが16年前、今となっては古本屋さんで250円でした。 取り立てて「俳句」に興味があるわけではありません。250円の某所の友です。で、ちょうど、週に一度お出会いしている女子大生のみなさんに 「『こころ』の授業をやるなら漱石に興味を持ってくださいね!」と呼びかけていることを思い出しての「読書案内」という次第です。 病癒えず蹲(うずくま)る夜の野分かな ぼくも、はじめて知った句ですが、ぼくには妻の姿を見ている漱石が思い浮かびます。それにしても、何とも、漱石ですね。 坪内稔典という俳人は漱石の親友正岡子規の研究者(?)として知られていると思いますが、この句を持ち出して漱石夫婦の長い秋の夜を400字、絵でいえば一筆書きで描いて見せているのは、さすがの手練れぶりです。新聞連載を10数年も続けられたわけです。 マア、どこからで、20歳の女学生さんたちが、夏目漱石に興味を持ってくれるきっかけになれ、それに越したことはありませんという案内でした。もちろん、「漱石俳句集」は岩波文庫に、今もありますよ。マア、古本屋をお探しになれば、ただ同然かもしれませんが(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.10.12 00:19:53
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