キウィ・チョウ「時代革命 Revolution of Our Times」元町映画館 あんまり元気が出なかった2022年の10月が終わります。月末の31日、金曜日、元町映画館で見たのはキウィ・チョウ監督のドキュメンタリー「時代革命」でした。チラシには「Revolution of Our Times」という英語表記が載せられています。
「ぼくらの革命」とでも訳すのかな?
と、まあ、のんきなことを思い浮かべながら見はじめましたが、徹底的に打ちのめされてしまいました。
映画は2019年の香港が舞台でした。「逃亡犯条例改正案」に反対する200万人を超える参加で闘われた民主化闘争のドキュメンタリーです。
「国家権力」は、個人に対して、本質的に暴力であることを、臆面もなくさらけ出すかのような、想像を絶する弾圧に対して、「光復香港、時代革命!」「香港人、加油!」とシュプレヒコールを繰り返し、闘い続ける「香港人」たちの姿を記録していました。
度重なる逮捕、拘束の結果でしょうか、明確な闘争目標を失い、際立つリーダーを失った市民、学生たちが「Be Water(流水革命)」を標榜しながら、ゲリラ戦を展開してる姿にこころを打たれながらも、その姿は「ぼくらの革命」などという、のんびりした言葉ではとても表せるものではないことを実感し、暗澹たる気分で見終えました。
言葉がありません。
「香港、加油!」とつぶやきなおしても、明るい結末が浮かぶわけでもないのですが、人類の、とりあえずの到達点である民主主義が崩壊していく過程が露骨に現出しつつある今、もう一度「香港、加油!」と声を上げるべき社会にぼくたちは生きていることだけは確かだと思いました。ぼくたちが暮らしている「日本」という国も例外ではありませんね。
弾圧の嵐の中で、この記録を残した監督キウィ・チョウに拍手!、戦い続ける「香港人」の人々に拍手!でした。
監督 キウィ・チョウ
2021年・158分・G・香港
原題「時代革命 Revolution of Our Times」
2022・10・31-no121・元町映画館no148