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カテゴリ:映画「パルシネマ」でお昼寝
ブルース・ベレスフォード「ドライビング・MISS・デイジー」パルシネマ 1989年のアカデミー賞で、作品賞だった作品だそうです。アカデミー賞史上、作品賞だったのに監督賞にノミネートされなかった数少ない作品の一つだそうですが、ぼくは、そういうことは何ひとつ知らないで、初めて見ました。
見たのはブルース・ベレスフォードという監督の「ドライビング・MISS・デイジー」です。 はじまりは、1940年代の終わりらしいですね。冒頭で高齢の女性が運転を失敗する自動車が、確かに、でかいアメリカ車ではあるのですが、クラシック・カーとしか思えません。ああ、戦後すぐかなという感じでした。場所はジョージア州アトランタで、季節は夏です。 運転をしくじるのは、長年勤めた教職を退いた未亡人のデイジー(ジェシカ・タンディ)です。年齢は、おそらく60代の後半か70代くらいでしょうか。彼女の屋敷にはアデラ(エスター・ローレ)と呼ばれているかなり高齢の黒人女性のメイドがいますが、そこに運転を禁止されたデイジー専用の運転手として雇われてやってたのが、これまた、もう、老人というべき、黒人の運転手ホーク(モーガン・フリーマン)です。 デイジーは自分のことを、まだ運転なんてへっちゃらだと思っていますし、質素に黒人のメイドと暮らす貧しくてこころ正しいユダヤ人だと思っていますが、息子のブーリー(ダン・エイクロイド)は父親から受け継いだ紡績会社の社長で、ただの金持ちで、実は黒人に対しても、ただの偏見まみれの未亡人です。まさに、1940年代のアメリカの、成功したユダヤ人の女性そのものというわけです。 一方、雇われた運転手のホークは文盲であるにもかかわらず、新聞を読むポーズを上手にすることで生き延びてきたに違いないと思わせる、悪く言えば要領のいい老人ですが、どこかに、人が生きていくことに対する誠実さ漂わせている人物で、モーガン・フリーマンという俳優の十八番のような演技が光っていました。 で、最後のシーンは1970年代です。三人の老人が出会って、30年近くの年月が流れました。アデラは10年ほど前に亡くなりましたが、デイジーとホークは健在です。90歳と80歳のコンビです。 お屋敷は売りに出され、デイジーは老人介護施設で暮らしています。老人性痴呆を発症しているにもかかわらず、訪ねてきたホークの顔を見ると表情が緩み、ホークは「MISS・デイジー。」と呼びかけて、パンプキン・パイをスプーンですくって彼女の口に運びます。デイジーは口を大きく開けて笑って食べています。 チラシでは、30年かかって、今ここにある美しいシーンを「友情」と呼んでいます。 「そうか、友情か!」 ジェシカ・タンディとアデラ役のエスター・ローレの鬼気迫る(ははは、まあ、何も迫りませんが。)老いの演技、モーガン・フリーマンのあたりまえの人間の演技、文句なしに拍手!でした。 68歳の老人に出会いの可能性を教えてくれる傑作でした。アカデミー賞では無視されたようですが、監督ブルース・ベレスフォードにも拍手ですね(笑)。 監督 ブルース・ベレスフォード 脚本 アルフレッド・ウーリー 原作戯曲 アルフレッド・ウーリー 撮影 ピーター・ジェームズ 美術 ブルーノ・ルベオ 音楽 ハンス・ジマー 編集 マーク・ワーナー 字幕 戸田奈津子 キャスト モーガン・フリーマン(ホーク・コバーン:運転手) ジェシカ・タンディ(デイジー・ワサン:女主人) ダン・エイクロイド(ブーリー・ワサン:息子) パティ・ルポーン(フローリン・ワサン:ブーリーの妻) エスター・ローレ(アデラ:家政婦) 1989年・99分・G・アメリカ 原題「Driving Miss Daisy」 2022・12・19-no140・パルシネマno51 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.11 22:40:06
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