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カテゴリ:読書案内「社会・歴史・哲学・思想」
方方「武漢日記」(河出書房新社) 市民図書館の返却の棚にありました。武漢という地名が気になって手に取りました。2020年の1月、中国、湖北省の武漢という都市の封鎖、ロック・ダウンが発表されて驚いた記憶があります。ぼくの中では、もう3年、そして4年目に入ったコロナ騒ぎの始まりの町の名前です。 書き手は方方、ファンファンと読むそうですが、という、中国では知られた女性作家だそうです。 内容は、表紙に「封鎖下60日の魂の記録」と赤字で記されていますが、ロック・ダウンが始まった2020年1月23日の2日後、1月25日から書きはじめられ、4月8日に封鎖を解除するという決定が出た3月24日まで60日間、毎日ブログに掲載された60篇の日記の書籍化でした。 最初はマイケル・ベリーというカリフォルニヤ大学の教授によって英訳され、アメリカで出版されたらしいのですが、日本では2020年の9月30日に出版されたようです。 ちなみに、新刊のときからこの本を棚に並べていた本屋勤めのチッチキ夫人が食卓で読んでいるシマクマ君に言いました。 「面白いの?ずっと、置いているんだけど、誰も手に取らないのよね。」 と、まあ、こんな会話でしたが、度重なるネット記事の削除や極左による誹謗中傷の中で、書き手の方方は、自らの執筆動機、意図について、こんなふうに語っています。 私は一人の物書きに過ぎず、私の見る世界は狭い。私が関心を持ち、体験できることは、身辺雑事と、一人一人の具体的な人間だけだ。だから、私は細々としたことを記録し、その時々の感想を書くことしかできない。自分のために、生きてきた過程を記録に残したいのだ。 本当は、最初の宣言のような部分だけ写し始めたのですが、日本ではあまり知られていない方方という作家について、とりあえず知っていただくにはと思い直して、彼女の文学観の吐露の部分まで引用しました。語られていることは、少し教条的かもしれませんが、彼女の人間性については、かなり正直に表現されていて、本書の記事全体が、売名や金儲けが目的ではないことがよくわかります。 追記2023・09・08 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.09.08 09:03:50
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