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カテゴリ:映画 香港・中国・台湾の監督
レックス・レン ラム・サム「少年たちの時代革命」元町映画館 2021年の香港映画です。レックス・レン、ラム・サムという二人の若い監督の共同制作の作品ですが、表現の自由が、ほぼ完全に弾圧されている中での制作のようです。
2019年の民主化運動の中で、抗議の自殺者が急増した現実を背景に、無力と孤独に追い詰められて、自ら命を絶とうとしているらしい少女を、少年たちが捜索し、思いとどまらせようと駆けまわる映画でした。 リアルなデモのドキュメンタリーなシーンの中で、少女の捜索をする少年たちとソーシャル・ワーカーの女性の、それぞれの、そして、お互いのドラマが展開するという作り方で、登場する少年や少女たちが、それぞれ絶望の一歩手前で自らの存在の在り方と向き合いながら「連帯」の可能性に手を差し伸べようとしているピュアなありさまを活写していた佳編だと思いました。 同じ年頃、知らない街のK察署の前で機動隊の出動をレポするという体験があったこと思い出しながら、映像の中にいる少年や少女たちの「幼さ」に、思わず、共感とも自嘲とも判然としないため息をついたりしながら観ていましたが、権力による取り調べの乱暴さを嘆く少女に、 「死んでも許してはならない」と声をかけるYYという、結局、死にたがることになる少女の言葉が突き刺さりました。 興味を失えば忘れて済ましたり、政治情勢の三文評論家然として話題にしたりすることができることとして、例えば、香港やウクライナを見物している風潮がはびこる社会に生きていますが、現場では、人間として 「死んでも許してはならないこと」が、日々起こっていることを、気づかせてくれる、真っすぐな作品でした。 弾圧下でデモの実況を撮ったレックス・レン ラム・サムという二人の監督と少年・少女たちに拍手!でした。 英語の題は「 May You Stay Forever Young」らしいのですが、ぼくはこっちの方がいいと思いましたね。映画の中で、中学生の少年のこんなセリフがあるのです。 「大人になるって、この前まで、間違っていると考えていたことを、なんかの理由で変えられるらしいけど、それならボクは大人にはなりたくない。」ねっ、ありがちなセリフなのですが、今の香港でこれを言われると、ありがちとは言えませんね。ボクはこの辺りに、作っている人の気持ちを感じるのですが、思い入れ過剰でしょうかね。 監督 レックス・レン ラム・サム キャスト ユー・ジーウィン(YY:女子高生) レイ・プイイー(ジーユー:YYの友達) スン・クワントー(ナム:男子高校生) マヤ・ツァン(ベル:ナムの恋人) トン・カーファイ(ルイス) アイビー・パン(バウ:ソーシャルワーカー) ホー・ワイワー(バーニズム) スン・ツェン(ファイ) マック・ウィンサム(ゾーイ) 2021年・86分・香港 原題「少年」「 May You Stay Forever Young」 2023・01・23-no009・元町映画館no158 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.29 23:22:53
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