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リービ英雄「模範郷」(集英社文庫) 「天路」で思い出したリービ英雄を続けて読んでいます。今回の案内は「模範郷」(集英社文庫)という作品集です。
目次 上の目次のように四つの短編が所収されていますが、同じテーマで書き継がれている連作といっていいと思います。後ろの数字はページです。 台湾の西側、つまり台湾海峡の中央あたり、台中なる地方都市の町外れの「模範郷」という場所に、その家はあった。「模範郷」は中国の國語(グオユー)でモーファンシャン、そこに住んでいたアメリカ人の間ではModel Villageと呼ばれていた。一九五六年、そのアメリカ人の父母に連れられて六歳の時そこに住みついたぼくはたぶん、英語の呼び方を最初に覚えて、そのすぐ後に、ペディキャブで家に帰るときにその車夫に告げる自分の家の住所として「モーファンシャン」を覚えた。 日本語で書かれた「模範郷」というこの作品集を手に取った読者が、おそらく最初に持つであろう疑問、「模範郷って何?」に応えるべく書き込まれたかに見える、格好の解説の一節が、当の「模範郷」という作品の始まりあたりにありました。 「わたしは、なぜ、ここにいるのか」 そういう問いの向こうに立っている、リービ・英雄(Ian Hideo Levy)という、不思議な名を持つ作家の哀しい孤独な姿が浮かんでくる傑作でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.05.20 10:27:16
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