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七里圭「背 吉増剛造×空間現代」元町映画館
ひさしぶりに「わけのわからないもの」を観ました。元町映画館でやっていた七里圭という人が監督した、「背 吉増剛造×空間現代」という作品です。詩人吉増剛造と空間現代という音楽グループによる「詩的(?)」パフォーマンスの映像です。 ちなみに吉増剛造のプロフィールはこんな感じです。1939年東京生まれ。 慶応義塾大学文学部卒業。 大学在学中に詩誌「ドラムカン」に拠って、疾走する言語感覚と破裂寸前のイメージで、60年代詩人の旗手として詩壇に登場。 70年代のことですが、ぼく自身が現代詩とかを読み始めた頃、「わからない」詩の代表詩人として屹立していた人の一人でしたが、今の若い人で、彼の詩を読む人はいるのでしょうか? ちなみに、空間現代というグループのプロフィールはこんな感じです。 空間現代 明日で終わりの上映ですが、客は三人でした。映像の中で、吉増自身が80歳を越えたことを口走っていましたが、意味として記憶に残ったのはそのセリフだけでした。それと、もう一つ、いろいろ書きこまれたガラス窓の向こうに海と島の風景が映るシーンが、冒頭にありましたが、そのシーンが、本の1ページのような印象で記憶に残りました。 あとはわかりません。始まりのそ窓ガラスのシーンにつづけて、男が、暗い部屋の中にしつらえられた、かなり大きなガラスのボードを拭き始めます。このシーンで、ガラスを拭いていく雑巾がつけていく泡の変化が、かなり執拗に映し出されるのですが、これが、このフィルムの、多分、最初の見どころです。でも、まあ、大げさに言うほどのことでもありません。 やがて、拭き終えて、まあ、きれいになったそのガラス板に何か書き込みはじめます。それから、手でガラス板を叩いたり、詩の文句(?)を叫んだり、で、空間現代という音楽グループのギターと打楽器の音が、その意味不明の動作に重ねられて聞えてきます。 はなから、理解不能だとあきらめているので、眠くなることはありませんが、もしも、理解を追求していれば、ナルシスティックというか自意識過剰というか、まあ、観ていて、そうとってしまうな映像に腹を立てるか、寝てしまうかしていたかもしれません。そうはならなかったところが、この映画の面白さですね。で、飽きが来る手前のところで、終わりました。 で、結局は、意味不明に疲れ果てて、座り込んでいると、前の方に座っていた老人が横を通り過ぎようとしているのを見てびっくりしました。学生時代の友人で、最近も、時々会うO君でした。 「何してんのこんなとこで?」 同じ言葉を同時に発して、とりあえず絶句してしました。 三人の観客のうち二人が知り合いで、観終えて、「何してんの」と尋ね合う、まあ、そういう映画だったということでした(笑)。 老骨に鞭打って、他人が見ても、わけのわからないことを頑張っていらっしゃった吉増剛造に拍手!でした。えらいもんですね(笑)。 監督 七里圭 出演 吉増剛造 空間現代(野口順哉、古谷野慶輔、山田英晶) 2021年・日本・ 62分 2023・02・15-no020・元町映画館no161 no161 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.01.25 21:29:40
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