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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2023.02.20
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 ​木田元「哲学散歩」(文藝春秋・文春文庫)​
 2021年くらいだったでしょうか、『精神の哲学・肉体の哲学 形而上学的思考から自然的思考へ』(講談社)という本で計見一雄という精神科のお医者さんとの対談集を読んで以来、細々と読み続けているのが哲学者の木田元です。​
 興味の核心は「現象学」なのですが、木田元という哲学者の「私事エッセイ」の文章に惹かれてしまって、肝心のハイデガーメルロ・ポンティには一向に進まないまま、時ばかりがたちますね。
 最近読み終えたのが「哲学散歩」です。文春文庫になっているようですが、図書館の単行本で読みました。
 講談社ホームページにこんな紹介が載っています。​
​​ 2014年8月に亡くなられた哲学者・木田元さんの、遺作となったエッセイ集です。「文學界」で4年にわたって隔月で連載され、ご体調のすぐれない中、最後まで原稿に手を入れられた本作は、プラトンから始まり、ハイデガーまで、氏の半世紀以上にわたる思索の軌跡を、やさしく振り返るものとなっています。まさに、哲学という険しい山の麓を、木田先生に導かれながら散策するような、最後の思索の旅であり、入門書となっています。​​
 そうなのです。この本は85歳で亡くなった木田元が最後に残したエッセイ集なのです。せっかくですからちょっと目次をご覧ください。
第一回 エジプトを旅するプラトン
第二回 エンペドクレスのサンダル
第三回 ソクラテスの皮肉
第四回 忘恩の徒? アリストテレス
第五回 書物の運命 これもまた?
第六回 哲学史のなかのアレクサンドロス大王
第七回 アウグスティヌスをめぐる謎
第八回 プラトニズムとユダヤ思想
第九回 『薔薇の名前』遺聞
間奏 悠久の旅(一)
間奏 悠久の旅(二)
間奏 悠久の旅(三 補遺)
第十回 火焙りにされた最後の哲学者ジョルダノ・ブルーノ
第十一回 デカルトをめぐる女性たち
第十二回 私のカント体験記
第十三回 ライヴァルたち――シェリングとヘーゲル
第十四回 ある師弟――ショーペンハウアーとニーチェ
第十五回 哲学者と女性
第十六回 哲学者と心理学の縄張り争い
第十七回 ある交友――ハイデガーとヤスパース
第十八回 マッハを想う
第十九回 哲学の青春――ニザンとサルトル
第二十回 ダヴォスの対決――カッシーラーとハイデガー
第二十一回 ある訣別――ハイデガーとレーヴィット
​​​ 話題になっている哲学者の名前は、なかなかなラインアップです。たとえば、あのデカルトが女性によくもてたなんて話もあります。それぞれ素人が読むことができるように、楽しく書かれています。そうはいっても、具体的にはどんな風なのかとお考えになる方もいらっしゃるでしょうね。そこで、いかにも木田元という文章が第十二回 私のカント体験記にありますから引用します。​​
 ​​大学に入って哲学書を読む本格的な訓練を受けようと思い立ったのは、ハイデガーの「存在と時間」を読みたい一心からだった。第二次世界大戦敗戦の五年後、一九五〇年のことである。ひとより二年くらいは遅れ、もう二十一歳になっていた。
 満州からの帰国者だったので戦後の混乱の中で右往左往し、結局は山形県の郷里の町の農林専門学校にまぎれこんでいたが、どう生きていけばよいのか、まったく道を見失っていた。農業などそっちのけにしてドストエフスキーに読みふけったあと、その影響下に書かれたという「存在と時間」のことを知った。これを読めばなんとか生きていく道筋が見えてきそうに思えるのだが、邦訳を手に入れて読もうとしてもほとんど分からない。そこで大学入学を決意したのだ。こうして、東北大学哲学科の旧制度最後の学年にすべりこんだ。
 入学後、大急ぎでドイツ語を仕込み、無茶な話だが、その年の秋から「存在と時間」を読み始め、半年ほどで読み上げた。実に面白かった。たしかに人間生死の重大事が語られているらしい。残るページの少なくなるのが惜しいほど面白かった。だが、それと同時に、自分にはこの本の肝心なところがまったく分かっていないということも分かった。しかも、この本は、これだけを二度三度繰り返し読んでいれば分かるというようになるといったものではなく、これを分かるには、ハイデガーの先生のフッサールも兄弟子のマックス・シェーラーも、さらにニーチェもキルケゴールも、カントもヘーゲルも、いやそれどころかプラトンやアリストテレスさえ読まねばならないらしいという見当もついた。
 もともと私は哲学の勉強をしようと思っていたわけではない。「存在と時間」を読みたいだけなのだ。これを読めば生きる道が見えてくるだろうから、そうすれば哲学などとは縁を切って、ほかのことをして生きていこうと思っていた。哲学で飯が食えるなどということは考えもしなかった。だが「存在と時間」がこう分からないのでは哲学とそう簡単に縁を切るわけにもいかず、長期戦を覚悟するしかない。こうして、哲学に深入りすることになってしまったのだ。(P134~P135)​​
 いかがでしょうか、これが木田元ですね。どなただったかが、おっしゃっていたと思いますが、この始まりの話、ほとんど使いまわしのようにいろんな著書に出てきます。
 その文章が、最後のエッセイ集であるこの本に出てきて「おおー、出てきた。出てきた。」と喜んでしまうのですが、何がうれしいといって、たとえばこの文章は「私のカント体験記」と題されている通り、カントとの出会いの話が、単行本にして8ページほどの分量で語られていて、引用したのは、最初の3ページほどの前振り、まあ、枕なのですが、カントカの字も出てきません。もちろん、後半は実にまじめなカント体験の回想なのですが、木田元にとって出会いの経緯なしにカント哲学はありえないということですね。で、それは彼の生涯にわたる膨大な仕事すべてが、ハイデガーに対する希求という青春の体験なしにはあり得なかったという自己認識の大切さの表明でもあるのですね。そこから始まった地点に何度も何度も立ちなおす、老哲学者の立ち姿いつもあるのですが、それがぼくにはうれしいのですね。
 40代、50代の頃には、読みやすい、エッセイ風の文章でしか出会うことのなかった木田元ですが、60を過ぎて気付いた、その立ち姿に誘われてでしょうか、ここのところ今まで敬して遠ざけていた訳業や論考にさ迷いこんでいます。横着な素人に即効性の眠り薬なのですが、さて、いつまで続くことやらという今日この頃です。


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最終更新日  2023.02.20 00:19:00
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