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庵野秀明「シン・仮面ライダー」109シネマズハット 「ああ,そうや!」 そう思って、やってきました。久しぶりの109シネマズハットです。庵野秀明という監督が気になって「シン・ゴジラ」、「シン・ウルトラマン」と観てきたのですから、まあ、当然、この映画も、というわけです。 観たのは庵野秀明監督の最新作「シン・仮面ライダー」です。ぼくにとって庵野秀明という監督は謎の人です。なにせ「新世紀エヴァンゲリオン」という作品について原作もアニメも見たことがないのですからね。噂だけの伝説の人です。 「シン・シリーズ」は、かつてのヒーローの再登場が特徴です。今回の仮面ライダーも、もともとは1970年代のテレビドラマです。ところが、ボクは、当時、高校生だったわけで、仮面ライダーがうれしかった世代ではありません。 「わるもんがショッカーで、仮面ライダーは・・・」 と考え始めたあたりで行き詰まります。マンガの原作が石ノ森章太郎だということくらいは知っていますが、テレビを見た記憶も原作を読んだ記憶もありません。 映画は仮面ライダー1号(池松壮亮)の誕生から、その死。仮面ライダー2号(柄本佑)へと引き継がれていく「ええもん」の系譜のストーリが、まあ、物語の筋立てで、開発者(?)である緑川博士とその娘緑川ルリ子(浜辺美波)、そして仮面ライダー1号、2号のそれぞれのキャラクター造形が味付けで展開しますが、筋の運びは古色蒼然という印象でちょっと照れ臭い気がしました。 「わるもん」として次々と登場する「なんとかオーグ」と名づけられた化け物たちが、「ええもん」の危機を演出し、結果、「わるもん」との苦闘に勝ち残って進化するという、子供のころのヒーロー・マンガのステロタイプをそのまま描いていて、 「この映画、今時の若い人たちはどんな風に見るのだろう?」 というのが率直な感想で、庵野秀明という監督のオリジナリティがどこで表現されているのかに気づく眼力は、残念ながらボクにはありませんでした。 「蝶オーグをやっていた森山未來に、とにかく、拍手やったわ。」後日、帰宅した、まあ、我が家の若い人で、森山未來大好き人間であるピーチ姫の笑いながらの感想です。 それをいうなら、蠍オーグに扮して、大いに笑わせてくれた長澤まさみとか、仮面ライダー2号になっていく柄本佑の大根ぶりも忘れてならないと思うのですが、どうなのでしょうね。 ゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダー、「シン・シリーズ」で取り上げられ、懲りずに見てきたヒーローたちを並べてみると、今、現在、60代の人たちにとって、子供時代を象徴する「人造ヒーロー」というべきキャラクターで、ちょっと大げさに言えば、その人たちが暮らした「昭和」という時代だからこそ生まれた存在なのですが、映画は、どの作品もその時代背景に対する批評性を意図的に捨てているのではないかという印象を持ちました。それは、とりもなおさず、制作者たちが「昭和」という時代に対する歴史的総括はともかくとして、「現在」という時代に対する批評意識、あるいは批評精神を喪っているのではないか、というのがボクの大雑把な感想です。 娯楽映画というのか、大衆映画というか、よくわかりませんが、映画の大衆性を支えるのは、観客たちが暮らす社会に対する批評精神ではないかと思うのです。それを喪った作品は、いってしまえば「オタク」化するほかないんじゃないかと思うのです。それって、もう、大衆娯楽映画とは言えないということですね。まあ、そういうことを言うのはもう古いのでしょうかね。変な時代になってきましたね。 監督 庵野秀明 原作 石ノ森章太郎 脚本 庵野秀明 撮影 市川修 鈴木啓造 キャスト 池松壮亮(本郷猛・仮面ライダー) 浜辺美波(緑川ルリ子) 柄本佑(一文字隼人・仮面ライダー第2号) 塚本晋也(緑川弘) 森山未來(緑川イチロー・チョウオーグ・仮面ライダー第0号) 松尾スズキ(SHOCKERの創設者) 手塚とおる(コウモリオーグ) 西野七瀬(ハチオーグ) 本郷奏多(K.Kオーグ) 長澤まさみ(サソリオーグ) 大森南朋(クモオーグ・声) 上杉柊平(背広の男) 仲村トオル(本郷猛の父) 安田顕(犯人) 市川実日子(緑川イチローの母) 松坂桃李ケイ(声) 竹野内豊(政府の男) 斎藤工(情報機関の男) 2023年・121分・PG12・東映 2023・03・27-no045・109シネマズハットno26 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.14 23:47:23
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