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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
ダニエル・レイム「屋根の上のバイオリン弾き物語」元町映画館 先日、SCCと称して、このところ始まった二人連れで映画を見る会のおしゃべりでこんな話題が出ました。
「あのね、元町映画館に行きたいというからね、これかなと思ったのが『屋根の上のバイオリン弾き物語』という、アメリカの映画作りを話題にしたドキュメンタリーなのよ。」 で、ダニエル・レイム「屋根の上のバイオリン弾き物語」です。本日、一人で鑑賞してきました。 納得でした。1970年代のアメリカ映画学講義、ユダヤ人問題編という趣でした。 この映画がドキュメントしている「屋根の上のバイオリン弾き」は日本公開が1971年ですから、ボクは、どこかでリバイバルを観たのでしょうね。劇中歌の一つである「Sunrise, Sunset」は流行りましたね。鼻歌ならボクでも歌えます。 とりあえず、映画の原作はショーレム・アレイヘムという、今、戦争になっているウクライナの、19世紀の終わりから20世紀にかけてのイディッシュ語の作家が書いた「牛乳屋テヴィエ」という短編連作小説です。ポーランド文学の西成彦という人の翻訳で10年ほど前ですが、岩波文庫で出ていて読むことができます。ボクはもっと以前に読んだつもりでしたが、たぶん錯覚です。 で、この「屋根の上のバイオリン弾き物語」とい映画ですが、50年前の「映画製作」の現場をインタビューで追った、とてもオーソドックスなドキュメンタリーでした。 母親役の方は登場しませんが、主人公のテヴィエ、そして三人の娘を演じた俳優さんたちと監督のノーマン・ジュイソン、音楽を担当したがジョン・ウィリアムズが健在で、その4人のインタビューが、まず、聴きごたえというか、とても面白かったですね。 で、その中で、 「東欧の、ナチス以前のユダヤ人の社会と、その迫害のありさまを、まあ、ブロードウェイでは当たり狂言であったとはいえ、映画にするときに、こんなに大ヒットするとは考えていなかった」 らしいということが、ボクには一番面白かったですね。ユダヤ人以外の観客を動員できたことが、作った人たちにもかなりな驚きだったようなのですが、その続きに、こんな発言がありました。 「ユダヤ人のことなんて、まったくかかわりのない日本人が、この映画や戯曲を喜ぶのはなぜなんだ?」 まあ、本質的にいい映画だからという議論はさておき、日本という社会の海外からの文化の享受というか、受け入れの特質にふれる発言でドキッとしました。そのうえ、やたら流行っていても、歴史的な関心や理解には、大概の場合広がらないまま、ブームが去るところりと忘れる日本人の特質について、たとえば、この映画を作っているダニエル・レイムとかどう思うんだろうと思いましたね。 もちろん、ジョン・ウィリアムスの音楽に関する思い出話とか、トポルというテヴィエを演じた俳優さんの、演じながら思い出した、東欧出身のユダヤ人の祖父の話とか、ノーマン・ジュイソン監督の撮影苦労話とか、とにかく、面白くて興味深い、とても上質な歴史記録的ドキュメンタリーでしたね。 これからも映画史ドキュメンタリーを、連作で撮ろうとしているらしいダニエル・レイムという監督に、期待を込めて拍手!でした。次のターゲットは、なんと、日本のOZUだそうです。どんな、ドキュメントになるんでしょうね。 監督 ダニエル・レイム 脚本 マイケル・スラゴウ ダニエル・レイム 撮影 アースラフ・アウスタッド シニサ・クキッチ 編集 ダニエル・レイム 音楽 デビッド・レボルト ナレーション ジェフ・ゴールドブラム(俳優) オリジナルインタビュー ダニエル・レイム(本映画監督) キャスト ノーマン・ジュイソン(監督) ジョン・ウィリアムズ(音楽) シェルドン・ハーニック(作詞) ロバート・F・ボイル(美術) ケネス・トゥラン(批評家) トポル(主人公牛乳屋テヴィエ役) ロザリンド・ハリス(長女ツァイテル役) ミシェル・マーシュ(次女ホーデル役) ニnoーバ・スモール(三女ハーバ役) 2022年・88分・アメリカ 原題「Fiddler's Journey to the Big Screen」 2023・06・07-no68・元町映画館no172 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.06.30 22:24:30
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