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カテゴリ:読書案内「社会・歴史・哲学・思想」
養老孟司・宮崎駿「虫眼とアニ眼」(新潮文庫)
棚から落ちて来て、拾い上げてみると養老孟司・宮崎駿「虫眼とアニ眼」(新潮文庫)でした。そのまま、某所に持ち込んで、座り込んで読み始めて、やめられなくなりました。 宮崎 養老 太字はぼくの勝手でそうしていますが、まあ、こんな感じです。 で、怖ろしいのは、この会話が20年前の出来事で、話題になっている子供たちが今や30歳を過ぎていて、ここで話題になっている親や先生になっているということです。話しているお二人は80歳を越えていらっしゃって、当時、「トトロ」を見せていた親で、なおかつ教員だったボクは70歳になろうとしながら、この話を読んで、思わず叫んでいます。 ワッチャー! 2002年に本になった養老孟司と宮崎駿の出会いの本です。ジブリから出ていた本が新潮文庫になったのは2008年です。下に貼った「目次」をご覧になればわかりますが、1997年、1998年、2001年に行われた三回にわたる対談の記録です。 養老孟司が「バカの壁」(新潮新書)で世間から大うけしたのは、確か、2003年で、今からちょうど20年前ですが、1990年代の始めくらいからちくま文庫で文庫化されて出ていた「~の見方」三部作(?)、「ヒトの見方-形態学の目から」(1991年)、「脳の見方」(1993年)、「からだの見方」(1994年)が ボクにとっては養老孟司との出会いの3冊でした。 宮崎駿の1997年といえば「もののけ姫」で、2001年といえば「千と千尋の神隠し」のアカデミー賞騒ぎのころです。 勝手にまとめれば、対談の眼目は「見る」ことの見直しです。おしゃべりな解剖学者と人に見せるのクリエーターが「見えるもの」のとらえ方の見直しを促す語り合いです。「見る」、「見せる」のプロ二人が語りあっている眼目が最近案内した「生きもののおきて」(ちくま文庫)の写真家岩合光昭の視力の話と、ピタリと一致していることも驚きでしたが、本書が見ているのがアフリカの野生動物ではなくて、我々が暮らしている社会だというところが、まあ、よりスリリングなわけです。 老人のぼくがいうのも変ですが、まったく古びていません。お若い方に読んでほしい語り合いです。 ヤバイ! 読み始めて、そう感じない人は、かなりヤバイ!と思います(笑)。 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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