ジョン・カサヴェテス「フェイシズ」元町映画館 朝一、元町映画館、「ジョン・カサヴェテス・レトロスペクティヴ リプリーズ」4本目です。見たのは「フェイシズ」です。1968年制作ですから、初期のモノクロ映画です。
「フェイシズ」ってなんやねん?
見始めて、ようやくフェイスの複数形だと気づきました。
顔、顔、顔、です!
見終えて思ったことですが、この映画でカサヴェテスがやろうとしていることは「顔」の持っている力の追求でした。
それも女性の顔の、だと思ったのですが、夫リチャード(ジョン・マーレイ)が切り出した離婚話の場面での妻マリア(リン・カーリン)の、セリフとは裏腹な顔、酔っぱらってはしゃいでいた客の男性が「一晩いくら?」と尋ねた瞬間の、娼婦ジェニー(ジーナ・ローランズ)の表情の変化、慣れない男漁りをしているマリアとその友人たちの困惑と怯え、どれもこれも、セリフではなくて
顔で勝負!
でした。
監督カサヴェテスが、これでもかとでもいうように、セリフではなく、まず、顔を差し出してくるところに、この監督の方法意識というか、映画に対する思想が凄まじい唸りを発して迫ってくる印象です。
凄い!
映像に、どう語らせるか?この年になって見ているからかもしれませんが、息が詰まるような迫力でした。やっぱり、疲れました(笑)
見始めたときのお目当ては、上の写真の、若きジーナ・ロランズだったのですが、この映画はマリアを演じたリン・カーリンという女優さんに尽きると思いました。拍手!でした。
それにしても、ドラマに出てくる男性たちが、ホント、カス野郎ばかりなのはどういうわけなのでしょうかね?1960年代の、まあ、今でもそうかもしれませんが、アメリカの、まあ、日本でもそうですが、男性!ということなのでしょうかね(笑)。笑ってますが、笑えません。
監督・脚本 ジョン・カサヴェテス
撮影 アル・ルーバン
編集 アル・ルーバン モーリス・マッケンドリー
美術 フェドン・パパマイケル
音楽 ジャック・アッカーマン
キャスト
ジョン・マーレイ(リチャード:夫)
リン・カーリン(マリア:妻)
ジーナ・ローランズ(ジェニー:娼婦)
シーモア・カッセル(チェット:青年)
1968年・130分・アメリカ原題「Faces」日本初公開1993年2月
2023・08・25・no109・元町映画館no199