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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2023.10.16
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​​​小池水音「息」(新潮社)​
​​​​ 上の写真のこの本は若い作家の処女出版だそうです。1991年生まれ小池水音みずねと読むようですが、という人の「息」(新潮社)という作品集でした。​​​​
​​​​​​​​​​ 収められた「わからないままで」という作品が2020年第52回新潮新人賞をとったデビュー作だそうです。新潮社が新人の作家をたたえる賞には三島由紀夫文学賞という賞があって、有名ですが、新潮新人賞というのもあるのかと、初めて知りましたが、この人の受賞が第52回なわけですから、実は昔からあるのですね。ちなみに、その2020年三島賞の受賞作は宇佐見りん「かか」(河出文庫)でした。​​​​​​​​​​
​​​ で、本書の表題になっている「息」という作品は、2023年の三島賞候補作だそうです。​​​
​ とりあえず、表題作の「息」ですが、こんな書き出しでした。​
 わたしは暗い天井を見上げ、そこからなにかを読み取ろうとする。
 ちょうど棺桶ほどの大きさの長方形を縦に横に組み合わせたような継ぎ目が、コンクリートの天井に走っている。読み取るというよりもむしろ、天井のほうから投げかけてくるものをきちんと受け止めなければならないのだとも感じて、継ぎ目の端から端まで、わたしは慎重に視線をたどらせる。
 大学生のころ以来、十五年ぶりに起きた発作だった。けれど夜明けにふと目覚めて、自分の気管支がほんとうにひさびさに狭まっていると気がついたときすでに、わたしは無意識のうちに、幼いころの習慣を再現していた。(P9)
​​​​ 小説は「わたし」、大学を出て、15年ほどたった女性によって語られています。彼女は、今、イラストレーターとして暮らしていますが、夜明けの自室で、15年ぶりに起こった気管支が狭くなるという発作の中で「息」を求めて仰向けに横たわりっています。彼女が、どんなふうに「息」を求めているのか、その部屋でのリアルな描写が続きますが、一方で、その姿勢で見上げている「天井のほうから投げかけてくる」ものがなんであるのかを、静かに語りだし、語り続けた趣の小説でした。​​​​
 日がすっかり昇ったら近所の内科へ行くことにしよう。そう思いながら、わたしはまた瞼を閉じてみる。そのときふと、目を覚ますまで見ていた夢の体感がよみがえった。それはこの十年のあいだ、くりかえし見てきた夢だった。夢にはいつも必ず、弟がいた。私はその夢のなかで、一歩、一歩と、弟のいるほうへ歩み寄ってゆく。その足取りを思い出す。(中略)
 ふたたび天井に目を向ける。さきほどからなにひとつ変化のない粗い継ぎ目が、コンクリートの天井には走っている。意味のあるなにかがそこには示されている。(P13)
​​​​​​​​​​​ 父、母、そして、くりかえし夢に出てくる主治医その娘彼女の脳裏に浮かぶ人々の姿、そして、子どもころから「空気のかたまり」求めて続けてきた彼女の、おそらく、三十数年にわたる生活が、静かに、しかし、誠実に語られていました。
 おそらく、作家自身の体験が作品の底にあるのだろうと思いますが、この作品の面白さは「喘息」体験のリアルな描写によるのではなく、「空気のかたまり」を求める語り手の生を希求する姿の普遍性を描こうとしたことにあると感じました。​​​​​​​​​​​

​​​​ 併収されている「わからないままで」という作品は、「息」という作品と、丁度、裏表の構成で、小池水音という作家の実体験と小説との関係を暗示していますが、二つの作品を読み終えて、驚いたのは作家が男性だったことでした。​​​​
​​​​ 作家の名前と​「息」​という作品が、女性の語りで書かれていたことで錯覚したのかもしれませんが、女性作家だと思い込んで読んでいました。まあ、ボクの迂闊さはともかく、この若い作家の力量がなせるワザでもあり訳で、
​​​なかなかやるな!​​
​ という印象を持ちました。読んで損はないと思いますよ(笑)。​​​​

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最終更新日  2023.10.22 21:10:46
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