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カテゴリ:読書案内「社会・歴史・哲学・思想」
司馬遼太郎・林屋辰三郎「歴史の夜咄(よばなし)」(小学館文庫) 作家の司馬遼太郎(1923年生~1996年没)と歴史家の林屋辰三郎(1914年生~1998年没)の対談です。
司馬 あの狛(こま)というあたりに、黄文(きぶみ)の絵師なんかがたくさん住んでいますね。だから黄文とか、黄色い色を出すというのは、新羅や百済のイメージよりは高句麗のイメージですね。 ちょうど読んでいたところからの引用です。いかがでしょうか、面白いですね。 司馬遼太郎については、さすがに説明はいらないでしょうが、林屋辰三郎というと、「誰?それ?」となりそうです。 金沢のお茶屋の御曹司で、京都帝大の史学科を出て、戦後、長く立命館史学の看板教授でしたが、ボクが学生の頃は、70年の大学紛争で立命館をやめて、京大の人文研の所長とかしておられた日本中世史の第一人者でした。「町衆」とか、「お茶」、「お花」というような京都文化の世界を学問として説いてくれた人です。 まあ、そのお二人が1970年ころに新聞紙上で連載対談なさったのが、1982年に単行本になって、その後、小学館ライブラリーに入っていたらしいのですが、2006年に小学館文庫で再刊されたのがこの本です。 今、思えば、司馬遼太郎という人は、1980年代から90年代の、所謂、「日本論ブーム」の火付け役にして、あれこれ薪を足しつづけることで、「歴史的視点」の広がりや客観性を支えた人だったと思いますが、もし、今、生きていらっしゃって、昨今の妙な歴史観の横行をなんとおっしゃるのか、チョット興味がありますね。 対談のお相手である林屋辰三郎さんの、日本中世史についての著作も、もう一度読み直すべき基本図書だと思うのですが、忘れられているようですね。 手に取ると、あれこれ興味の尽きない、超博識の老人二人の「夜咄(よばなし)」でしたが、元町の古本屋さんで100円でした(笑)。 一応、目次をあげておきます。寂しいことですが、対談をなさっているお二人も解説を書いていらっしゃる陳舜臣さんも、もう、いらっしゃいません。古代史から、江戸、西から東を縦横にしゃべっておられる、在りし日のお二人をなつかしいと感じられたり、まあ、日本がどっちを向いているとかいう方面に興味のある方には、きっと、楽しい本です(笑)。参考までに、一応、目次を載せておきます。 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.11.21 00:54:28
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