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カテゴリ:映画「パルシネマ」でお昼寝
三原光尋「高野豆腐店の春」パルシネマ パルシネマが企画した「父娘映画」2本立ての1本が「658km、陽子の旅」、で、もう1本が、この「高野豆腐店の春」でした。監督は三原光尋という方です。「陽子の旅」の熊切和嘉監督のちょうど10歳年長で、同じ大阪芸大出身のかたのようです。
映画の冒頭に、まず、紺のジャンパーに白い前掛けの高野辰雄さん(藤竜也)が水に浸けた大豆の水を切りながら、おそらく、蒸して豆摺りをする機械に入れる作業をしているところに、同じく白い作業着の娘の春さん(麻生久美子)が入ってきて 「お早うございます。今日もよろしくお願いします。」 と挨拶をするシーンから映画が始まりました。このシーンがとてもいいなあと思ったんですね。で、その様子を見ていて、普段なら、あくびが出そうなホームドラマなのですが、なんとなく納得して、終始、寛ぎながらノンビリと映画を見終えました。まあ、そういう映画でした(笑)。 そろそろ、本気で体にガタがき始めてはいるのですが、相変わらず、頑固一徹な豆腐屋と、所謂「出戻り」で、父の仕事を律儀に手伝う看板娘、とはいえ、しかし、まあ、さすがに40歳は超えているだろうという娘の、父と娘の物語でした。で、舞台は、あの尾道です。なかなかな設定ですよね。 尾道を舞台に、頑固ジジイの辰雄の老いらくの恋と、春の再婚話がコメディタッチで重ねられて話は進み、無事、ハッピーエンドを迎えますが、ノンビリ見ていて驚いたことは、実はこの映画は「ヒロシマ」を描いた作品だったということでした。 映画の中で、辰雄は「あの雲を疎開先で見た。」という言葉を口にしますが、そうであるならば、2015年くらいがこの映画の現在であるとして、主人公の辰雄とその恋人は優に80歳を超えている年齢なわけで、さすがに、そのことに気づいて驚きましたが、同時に、三原光尋という、1964年生まれの監督が、2023年の、今、「ヒロシマ」を描くという勇気にも驚きました。 ただ、その結果、映画の筋運びが冗長になったことは確かで、いろいろ盛りすぎて、且つ、コテコテの笑いが、ノンビリ見ているボクでさえだるいのが難点でしたね(笑)。 辰雄と春が、毎朝、作業を終えて豆乳を飲むシーン、二人で体操をするシーン、ラストシーンで、もう一度、朝の豆腐作りが繰り返され、そこで、辰雄が口にするセリフ、まあ、ありきたりといえばありきたりなのですが、生活するということが「ありきたり」を繰り返すことだという真実を描いているともいえるとボクは思いました。 藤竜也を主人公として見るのは、なんと、あの「愛のコリーダ」とか、「愛の亡霊」とか以来ですが、彼は今年、なんと、82歳なのですね。だから、実年齢通りの役を演じていらっしゃったわけで、ちょっとびっくりでした。アクションまであるのですよ(笑)。もちろん、拍手!ですね。 相手役の中村久美さんも、春役の麻生久美子さんも素直な演技で拍手!でしたね。 監督・脚本 三原光尋 撮影 鈴木周一郎 編集 村上雅樹 音楽 谷口尚久 エンディングテーマ エディ藩 キャスト 藤竜也(高野辰雄) 麻生久美子(高野春) 中村久美(中野ふみえ) 徳井優(金森繁) 山田雅人(横山健介) 日向丈(山田寛太) 竹内都子(金森早苗) 菅原大吉(鈴木一歩) 桂やまと(西田道夫) 黒河内りく(田代奈緒) 小林且弥(村上ショーン務) 赤間麻里子(坂下美野里) 宮坂ひろし(坂下豪志) 2023年・120分・G・日本 配給 東京テアトル 2023・11・17・no141・パルシネマ73 ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.11.19 00:31:31
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