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カテゴリ:映画「ちょっと遠くの映画館」でお昼寝
リドリー・スコット「ナポレオン」109ハット 御年86歳のリドリー・スコット監督の新作「ナポレオン」を見ました。
先日、御年76歳の北野武監督の新作「首」を見て、ボク的には「中世的世界最後の大タワケ」だと思っている信長をどうなさるのかと興味津々だったのですが、まあ、 なんだかなあ??? という具合で、首を傾げたわけなのですが、こちらは、もう10歳、年上の方なわけで、ご老体、さて、「馬上の世界精神」(ヘーゲル)をどうなさるのだろうと興味津々でやってきました。で、 納得! でした(笑)。ボクは、このタイプの歴史映画、やっぱり好きですね(笑)。 映画としての興味の一つは、まあ、ナポレオンといえば、の「アウステルリッツ」、「ワーテルロー」の 二大会戦のスペクタクル・シーンを大スクリーンで! と期待していたのですが、大劇場での上映時間を勘違いして109ハットの中では、小劇場上映の鑑賞になってしまったので、チケット購入時点では、 ちょっとがっかり! だったのですが、実際は、たった一人の客のための特別上映会(ウソですよ。)で、小なりと言えど、劇場のど真ん中で社長試写会状態での鑑賞で大満足でした(笑)。 二つ目の興味は年上の妻ジョセフィーヌをどうするのだろう?だったのですが、おばさんが出ていらっしゃると思いきや、結構、お若い女優(バネッサ・カービー)さんで、 あれ?そうなの? だったのですが、この映画のナポレオンには、 まあ、あれはあれでよかったんだろうね(笑) という感想でした。 で、三つめはナポレオンご当人です。映画は「ジョーカー」のホアキン・フェニックスの一人芝居でした。 これが、すごかったですね(笑) コルシカ出身の、だから、まあ、田舎者で、大砲を撃つことしか知らない砲兵大尉ナポレオン・ボナパルトがマリー・アントワネットの首が、断頭台ギロチンから転がり落ちるシーンを狂喜する民衆の中を歩いているシーンから始まります。 ああ、また、首ですか?!まあ、そんな気分で見ていたのですが、刑場を通りかかったナポレオンは何の反応も見せません。マリー・アントワネットが斬首されたのは1793年です。ナポレオンがその広場に、実際にいたかどうかは、ちょっと怪しい気がしましたが、王妃の首がギロチンから転がり落ちた、まさに、その時、大騒ぎする民衆の中に、一介の砲兵大尉ナポレオンを無感動な「時代精神」として登場させた演出はなかなかな見ごたえでしたね。 で、彼は、ここから、無感動に「大砲」をブッ放し続けます。ピラミッドを破壊し、敵前逃亡を疑われたパリでは民衆相手にブッ放し、アウステルリッツでは氷上の三帝会戦を制し、冬のモスクワを焼き払いますが、要するに「旧世界」に向けてブッ放し続けるわけです。 で、エルバ島への最初の幽閉があって、復活するも、ワーテルローで、ナポレオンのおかげ(?)でナショナリズムに目覚めたウィーン会議の連合軍に敗れ、戦いに付き従ったフランス国民兵の10万を越える命とともにすべてを失い、大西洋の果ての島、セント・ヘレナ島で崩れ落ちる影として最後を迎えます。映画はホアキン・フェニクスの後ろ姿が画面から消えて終わりました。 大砲をブッ放しつづけることで、王妃の首に大騒ぎする民衆に「フランス」をあたえ、「オレたちの国フランス」=国民国家=ナショナリズムを作り出した「英雄」(ベートーヴェン)ナポレオンが、故郷と母親を恋しがる、ただのマザコンであり、ただの砲兵大尉でしかなかったという「空虚」を、何を考えているのかわからない存在として演じたホアキン・フェニックスの、あの眼に拍手!でした。 長いといえば長い映画ですが、ボクには面白かったですね。老いたりといえども、リドリー・スコット、さすがですね。拍手! ああ、それから、ボク一人のために映写してくれた技師さんに拍手! アリガトウ、ご苦労様でした! でしたね(笑)。 ハハハ、ボクは、まあ子どものころから好きですが、それにしても、ナポレオンなんて、今時はやらないんでしょうかね(笑)。 監督 リドリー・スコット 製作 ケビン・J・ウォルシュ マーク・ハフマン ホアキン・フェニックス リドリー・スコット 脚本 デビッド・スカルパ 撮影 ダリウス・ウォルスキー 美術 アーサー・マックス 衣装 ジャンティ・イェーツ デビッド・クロスマン キャスト ホアキン・フェニックス(ナポレオン) バネッサ・カービー(ジョゼフィーヌ) タハール・ラヒム(ポール・バラス) マーク・ボナー ルパート・エベレット ユーセフ・カーコア 2023年・158分・PG12アメリカ 原題「Napoleon」 2023・12・06・149 ・109ハットno36 ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.13 03:34:42
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