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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2023.12.15
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​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​マリー・クロイツァー「エリザベート 1878」パルシネマ 今日のパルシネマは、まあ、なんというか、
​​妻って何?母って何?私って何?​​
 ​​という感じの2本立てで、1本ケイト・ブランシェット熱演のコメディ「バーナデット ママは行方不明」で、もう1本がこの作品でマリー・クロイツァーというオーストリアの、多分、女性の監督「エリザベート1978」でした。ハプスブルク帝国の最後から二人目の皇帝、フランツ・ヨーゼフ1世皇后さんが主人公のお話でした。
 原題「Corsage」で、普通、髪なんかを飾る花飾りのことだと思うのですが、この映画の場合は、女性の胴体を締める「コルセット」のことらしいですね。
 で、邦題にくっついている「1878」というのは、映画の中でもスーパーが流れるのですが、エリザベートさん40歳になったのが西暦1878年というわけで、その一年間の顛末が映画のお話でした。
 40歳に、どんな意味があるかというと、当時の女性の平均寿命が、まあ、この映画の場合、史実かどうかは疑わしいのですが、その年だという設定ですね。ちなみに、エリザベート皇妃という方は、その「美貌」で歴史に名を残している人らしくて、映画や、マンガ、それから宝塚の主人公とかで有名な方らしいのですが、ボクは知りませんでした。
 で、映画の主人公であるエリザベートさんが何をするのかというと、まあ、ボクの見立てにすぎませんが、
​逃走!​​
​ でしたね。上のチラシエリザベートさん
​「かかってきなさい!」​​
​ のポーズを決めているようですが、ボクの目にはひたすら逃げまくったように見えましたね。まあ、いってしまえば彼女コルセットで縛るあらゆるものからの逃走映画だと感じましたですね。
 風呂桶に沈み込んで、侍女に時間を測らせているシーンから映画は始まりました。このシーンの映像
​​水にただよう女!​​
​​​​​​​​​ ​まあ、そんなイメージが、唐突に焼き付けられる印象ですね。水の女というコンセプトが、その昔ありましたね(笑)。風呂好きの女性の湯あみシーンでのお遊びではありませんよ(笑)。
 歴史が彼女をいかに美貌の皇后として物語り、宮廷画家が皇妃としてふさわしい姿に描き、王宮の人々が、宮廷の主人公らしさを求め続けるとしても、それらはすべて幻影であって、エリザベート自身は、彼女自身の変幻自在の生を生きるほかはありません。
 で、この作品の女主人公はコルセットで締めあげられた、押し付けられた「物語」からあくなき闘争の女を生きるのですよ。幻影としての現実から真実の生へ、どうやって逃げ延びるか、これは、それを映し出した作品ですよ!
 まあ、そういうふうに監督自身
が最初に宣言した​​​​​​シーンが、あのシーンだったんだなというのが、最後の最後に、美しい海原に向かって見事に跳躍し、コルセットの人生の幕を閉じるラストシーンを見ながら気付いたことでした(ホンマかいな?)。
 というわけで、水のイメージを随所に織り込みながら、主人公に死と再生、あるいは、自由への逃走のドラマを生きさせようとするマリー・クロイツァー監督のアイデアに拍手!でした。 映画の中のエリザベート41歳になることを拒否して青い海原に跳躍します。そのシーンは、桎梏の現実から再生の夢への飛翔であるかのごとく美しく描かれているわけですが、再生した現実のエリザベート60歳
まで生き延びて、なんと、​暗殺というか、所謂、暴漢に襲われて、不慮の死を死んでしまうという歴史的現実があるわけですから、ままなりませんね(笑)。
 しかし、まあ、白い豪華客船の舳先から海原に向けて飛翔するまでのエリザベートを執拗に描いた​
​監督マリー・クロイツァーの​​​意図は、まあ、ボクが勝手に想像したにすぎませんが、とても面白いと思いましたね。拍手!
 最後に、ちょっと余計なことですが、チラシの作り方とか、キャッチ・コピーとか、フェミニズムを、商品のネタとして、薄っぺらく煽っているかの宣伝の仕方はやめた方がいいと思いますね。
 ああ、それから、最後に映された豪華客船が、どう見ても現代の船であったのは何故なのでしょうね。一応、歴史映画の体裁で作られていたはずなのですがね(笑)。

監督・脚本 マリー・クロイツァー
撮影 ジュディス・カウフマン
美術 マーティン・ライター
衣装 モニカ・バッティンガー
編集 ウルリケ・コフラー
音楽 カミーユ
キャスト
ビッキー・クリープス(エリザベート・皇后)
フロリアン・タイヒトマイスター(フランツ・ヨーゼフ・皇帝)
カタリーナ・ローレンツ(マリー・フェシュテティチカ)
ジャンヌ・ウェルナー(イーダ・フェレンツィ)
アルマ・ハスーン(フランツィスカ・フェイファリク)
マヌエル・ルバイ(ルートヴィヒ 2 世・バイエルン王)
フィネガン・オールドフィールド(ルイ・ル・プランス)
アーロン・フリース(ルドルフ)
ローザ・ハジャージュ(ヴァレリー)
リリー・マリー・チェルトナー(マリー・両シチリア王妃)
コリン・モーガン(ベイ・ミドルトン)
2022年・114分・PG12・オーストリア・ルクセンブルク・ドイツ・フランス合作
原題「Corsage」
2023・12・12・no154 ・パルシネマno78
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最終更新日  2023.12.15 15:32:51
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