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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
ジュン・リー「香港の流れ者たち(その2)」元町映画館 同じ映画を、意識して何度も見直すという習慣というか、まあ、意図というかはボクにはありません。
「あっ、あの映画や!」 そう思う作品がテレビに映っていると、そのまま見続けるということはあります。今日も「ビバリーヒルズコップ」が、ちょうど始まるところに出くわして、結局、最後までテーマソングを鼻歌しながら見たりしましたから。それは、それで楽しいですよね。 最近では、30年くらい前に見たはずだけど、まあ見直してみようという作品が増えました。ただ、DVDを借りて来たり、ネット配信で探してみたりすることは、ほぼ、ありません(笑)。 で、今日、元町映画館で見たのはジュン・リーという監督の「香港の流れ者たち」でしたが、見始めて、2022年の「香港映画祭」という特集でやっていた時に見た映画だと気付きました。チラシの丸刈り男に、なんとはなしに親近感を感じて見に来たのですが、感じたはずでした(笑) まあ、初めての体験というわけでもないのですが、面白かったのは、 登場人物たちが次に何をするのかが魔法のようにわかることでしたね(笑)。 もちろん、繰り返し起こる魔法体験のせいで、そうはいっても、一度見たことを思い出していたわけですから、魔法は解けましたが、見たことがないと思い込んでいるあいだ、みんなわかるというのは不思議ですね(笑)。 まあ、老人ボケの報告はともかくとして、二度目に見てどうだったかですね。二度見て、損はなかったですね。 ナルホドと納得したのは、まあ、頭からネタバレで申し訳ありませんが、終わりの方に、主人公(?)のファイさんが亡くなるシーンがあって、そこにハーモニカの青年モクくんが出てくるのが、なんだかよくわからなかった記憶があったのですが、そのシーンは、ファイさんの人生を語るためにつくられたというか、実に映画的なシーンだったようなのですね。で、納得ですね。 二つ目は、この映画が 香港という都市を撮った作品なんやなあ・・・ ということに気付かされたことでしたね。 映画の中で、結局は亡くなってしまう二人のベテラン、ホームレス生活者のそれ以前の人生は、ほぼ、わかりません、今があるだけです。で、その今は、彼らが「香港」という都市の底のようなところで生きている今ということなのですね。 ファイさんとモクくんが、連れ立って超高層ビルの工事現場の頂上から見下ろすシーンがありますが、眼下に広がる道路や林立するビルの光景は、威容と呼ぶほかないシーンです。で、それに対して、彼らが暮らす高速道路の橋脚の下から見上げる狭い空の風景に「グリーン・スリーブス」の頼りないメロディーが聞こえてきます。彼ら自身と都市の関係が如実に描かれていたというべきでしょうか。 で、ついでにいえば、彼らの援助に奔走するホーさんという、若いソーシャル・ワーカーの住居は高層マンションで、部屋からは美しい夜景が見えるシーンもあります。その部屋から、ボランティアに出かける存在の、彼らとの遠さも、まあ、図式的ではあるのですが、風景として描かれていると思いました。 街の中をトボトボ徘徊することを覚えて、ようやく気付いたことですが、神戸程度の町でも、街中や高架沿いを歩いている時には空は見えないのですね。見えるのはコンクリートの壁や柱です。 で、建物の間の路地を歩きながら見ているのは、フト見える過去ですね。歩くと気付く、そういう都市と人間の関係をあざやかに映し出している作品だということも、二度目で気づいたことでしたね。 なかなかですね。ジュン・リーという人は、1991年生まれの若い監督のようですが、期待を込めて拍手!ですね(笑) 監督・脚本 ジュン・リー 撮影 レオン・ミンカイ 美術・衣装 アルバート・プーン 編集 ヘイワード・マック ジュン・リー 音楽 ウォン・ヒンヤン キャスト フランシス・ン(ファイ 中年の男) ツェー・クワンホウ(ラムじい ベトナム難民) ロレッタ・リー(チャン 女性ホームレス) セシリア・チョイ(ホー ソーシャル・ワーカー) チュー・パクホン(ダイセン) ベイビー・ボー(ラン チャンの妹) ウィル・オー(モク ハーモニカの青年) 2021年・112分・香港 原題「濁水漂流 Drifting」 2024・01・16・no006・元町映画館no222 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.01.31 22:21:15
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