クリスティアン・クレーネス フロリアン・バイゲンザマー「メンゲレと私」元町映画館「ホロコーストの証言」というシリーズの、第3弾、「メンゲレと私」という作品を元町映画館で見ました。
スクリーンで語り続けるダニエル・ハノッホという91歳、リトアニア生まれの老人の表情の迫力に圧倒さる96分でした。
原題は「A Boy's Life」ですが、邦題では「メンゲレと私」とつけられています。で、そこに出てくるメンゲレという名前は、アウシュビッツで貨車で到着した収容者の「生・死の選別」
を指揮し、双子の体を縫い合わせるというような、想像を絶する人体実験
をやったことで有名な、ヨーゼフ・メンゲレという医学者で、敗戦後も、モサドの追及を逃れて1979年、69歳まで生き延びた人物です。
12歳の金髪の少年がアウシュビッツに連行され、そのメンゲレの「死への指示」
からいかに逃れ、いかに生き延びたかが語られているのですが、具体的な証言内容や、時折、挿入される、ナチス・ドイツだけではなく、イギリス、アメリカ、ソビエトの、1940年代のアーカイヴ・フィルムの面白さもさることながら、91歳まで生きてきた証言者ハノッホの豊かで深い表情に見とれました。
もう一つ印象に残ったのは、反ユダヤ主義、体制順応主義というのでしょうか、リトアニアやオーストリアの市民たちが、その当時、ユダヤ人に示した差別的、排斥的で暴力的な態度や行為に対して、彼が一言で、こう言ったことでした。
「恥だ!」
この映画でハノッホは英語で語っていましたから、聞こえてきたのはshameという響きでした。その時、彼の脳裏に、どんな「神」がいての発言かはボクにはわかりませんが、深い言葉だと思いました。
まあ、それにしても、70年後の今、こんなふうに語り手をさがし、証言を映画にしている努力に拍手!でした。
映画館には、ボク以外に三人の老人が座っていらっしゃいましたが、できれば、若い方に見てほしい作品だと思いました(笑)。こういう証言に耳を傾けることから「歴史」に対する興味を育ててほしいと思うのですが・・・・。
監督・脚本
クリスティアン・クレーネス フロリアン・バイゲンザマー
編集 クリスティアン・ケルマー
キャスト
ダニエル・ハノッホ
2021年・96分・オーストリア
原題「A Boy's Life」
2024・01・27・no013・元町映画館no224
追記
ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)