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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
三上智恵「戦雲 いくさふむ」元町映画館 この映画のチラシを見たとき、2019年の10月ですから、もう、5年前のことですが、元町映画館が緊急上映していた影山あさ子監督の「ドローンの眼」という作品を思い出しました。
「ああ、あれから5年経ってしまった。」そんな思いで、当時、影山監督の、あのドキュメンタリー「ドローンの眼」で 「可視化」しようとドローンを飛ばして映像化していた、 第一のターゲットは「辺野古」 だったこと。しかし、辺野古に焦点をあて、沖縄の現実を伝えようとしたときに、たとえば、神戸で暮らしている「ヤマトンチュウ」にとっては、沖縄本島の「辺野古」の出来事は、まだ、ニュースとして、おぼろげながら見えていたのですが、その、また、海の向こうに霞んでいた石垣島、宮古島、与那国島の、2019年当時の、米軍によってではない、日本という国の政府によって、戦争を放棄したはずの国のミサイル基地建設の実態が工事現場の風景として映像化され、可視化されていたことが、あの映画の、 もう一つのターゲット であり、辺野古以上に大きな問題を提起していたわけです。 で、今日の映画「戦雲 いくさふむ」です。 「そうはいっても、今のこの国のムードに、気持ち以上のどんな抗い方があるのだろう?」 という、いつの時代でも、国家レベルで行使される権力の姿に対して、抗いようのない無力感が自分の中にわだかまっていることも気づかないふりの、 呑気な徘徊老人として過ごしてきたのではないか? と、揺さぶるように山里節子さんの歌う、おそらく島唄の、美しくも哀愁に満ちた響きで映画は始まりました。 三上監督が2015年から8年間にわたり沖縄本島、与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島などをめぐって取材を続け、過酷な歴史と豊かで厳しい自然に育まれた 島々の人々のかけがえのない暮らしや祭り が鮮やかに映し出されています。そこには、牛がいて、馬がいて、命がけのカジキ漁があって、美しい水平線があります。 映画は列島の南西の果ての島の出来事を、海の向こうの、自分にはかかわりないことのようにして忘れたがっている神戸の老人に、そこにも、同じ日本人として穏やかに暮らす人々がいて、その人たちの裏山が削り取られて大陸に向けて発射可能なミサイル基地や、自衛隊員のための防空壕がすでに完成していて、毎日、射撃訓練の銃声に穏やかな暮らしを奪われている人が、すでにたくさんいらっしゃることを伝えています。神戸の老人は茫然と目を瞠ります。 自衛隊を統括する軍人(?)の口から、台湾有事ということばが大真面目に聞こえてきて、島ごと疎開する計画さえ立てられています。70年前には「お国のため」といっていた気がしますが、今回は 「島民の皆さんの安全を守るため」 だそうです。なぜ、本土で広報衆知しないのでしょうね? 映画館は、ボクよりも、ずっと年かさのご夫婦や男性、女性の連れ立った観客のみなさんで、久しぶりに込み合っていました。その高齢のお客さんたちの中に座っていると、いつもの映画とは違って、スクリーンから響く三線のリズムや歌声が聞こえたり、お祭りのシーン、牛や馬のシーンににかすかながらも、ため息や口ずさみが聞こえてくるのでした。それは、きっと、 故郷を案じて集まった人たちの息遣い だったと思いますが、流れ出した涙の乾く間のない2時間でした。 1945年の沖縄の戦場で、亡くなった方のご家族や、九死に一生の体験をなさった方や、その方々の体験を受け継いで 70年の歳月を暮らしてこられた目 で、この映画が映し出す惨状をご覧になって、どう、お感じになられるか、胸がふたがる思いで見終えました。 元町映画館では、この「戦雲」を4月の上旬まで上映しているようです。どうぞ、ご覧になってください。私たちの国が次の戦争を、他国の国内情勢を理由にして準備していて、そこで、 誰に犠牲を強いようとしているのか。 自分の目で確かめて、他人ごとでないことを、まず、気付いてほしいと思います。 海の向こうの島々で、戦争の準備をしているのは、他所の国じゃなくて日本なのですよ! こういうことが「自衛」で説明できるというのが、まず、驚きですが、何故か、こっそり準備されているのです。もう、悠長に驚いている場合ではないようですね。笑えません! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.28 22:41:02
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