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カテゴリ:読書案内「近・現代詩歌」
安東次男「其句其人」(ふらんす堂) 元町の古本屋さんの棚に300円で立っていました。安東次男「其句其人」(ふらんす堂)、1999年の初版です。
目次文庫サイズの小さな本ですからポケットに入れて出かけています。「其句其人」と「三句の覚書」は、それぞれ、飯田蛇笏、加藤楸邨という、まあ、名だたる俳人について、句をひいての解説風エッセイですが、「四季百句」は古今の俳句から著者が選んだ、一句ごとの解説で、読んでいて楽しいことこの上ありません。なんとなく、繰り返し取り出して読んでいます。 ちなみに「春」の最初に登場するのが芥川龍之介です。 元日や手を洗ひをる夕ごころ 芥川龍之介 とまあ、こういう調子で、おっしゃっていることに対する理解の程度はともかく、文章のテンポと心地よい言い切りに引き込まれます。 で、ノンビリ読んでいて、 ふーん、そうか!という体験もあるわけで、その一つがこんな所でした。 頬白やそら解けしたる桑の枝 村上鬼城 こういう本を持ち込んで、座り込んでいるわが家の某所の壁には、新聞の俳句や短歌の欄に載っている句や歌がポストイットにメモって貼ってあります。チッチキ夫人の仕業ですが、その中に ケアマネのあゆみさん来る小鳥くる 加藤節江(1929生) という句があって、それを見ながら、この本を読むということになりますが、 へえー、この句は夏か!? なのでした。貼った当人は 春ちゃうの?小鳥がよく鳴くのって、今ごろでしょ。 ケアマネさんのピンポンの響きで、 きた! と、こころと一緒に、お住まいになっているおうちの空気が軽やかにうごくのを感じていらっしゃる加藤さんといっしゃる方の様子が浮かんで、覚えてしまった句なのですが、季節と時間は初夏の午前中なのでしょうかね。 まあ、いつのことでもいいようなものですが、気になり始めてしまいますね(笑) それはともかく、この本、 「すべての実作者へ」 とか腰巻で謳っていますが、ボクのようなただの素人読者にも、読みでがあって、おもしろかったですね。 さすが安東次男! まあ、そういう感じでしたね。 なかなか、手に入りにくそうな本ですが、おススメですね(笑)。
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最終更新日
2024.04.30 23:46:17
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