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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2024.05.13
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​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ノラ・フィングシャイト「システム・クラッシャー」元町映画館​ 2024年5月、連休の最中でした。
​​これならあんまり人おらんやろ。​​
 題名の意味がよくわからないので、まあ、適当に狙って行ったのがノラ・フィングシャイトという、多分、ドイツ女性の監督「システム・クラッシャー」という作品でした。
​「システム・クラッシャーって何?」​
​ そう思って見ていたのですが、なんというか、もちろん、ボクなんかにはとても打ち返すことのできない真ん中高めの剛速球のストライクを投げ込まれ、キャッチャーもいて、その後ろに防球ネットを立てて見ていたにもかかわらず、
​びっくりしてひっくり返った!
​ 感じの映画でした。とりあえず立ち上がって、
拍手!拍手!
 画面に登場した主人公のベニーという9歳だかの少女の行動の一部始終が映し出されていくにつれて、その言葉は、彼女、ベニーの生活圏において、常識的な秩序を維持しようと努力している医者や、教員や、ソーシャルワーカーやといった大人たち、それから、学校とか、施設とか、家庭とかで秩序のルールを守ったり、頼ったりして暮らしている大人や子供や、兄弟や、友達、そういう人たちが、そっと目配せして
​​「彼女はあれなのよ。」​​
​ と囁き合う言葉だということのようでした。
​​​​ 実際に映画の中では、この言葉は、一度出て来たかどうかでしたし、もちろん「あれ」と口に出す人なんて、誰もいません。にもかかわらず、彼女は徹底的に「あれ」扱いでした。それが、この映画の描きかたなのですが、ボク自身は​見ながら30年以上も昔の体験を思い出していました。
 あの頃勤めていた仕事場でも、職員は、残念ながらボク自身も含めて、まあ、映画のベニーと症状はちがいますが、
​学校に来ることができない子供たち​
 と出会うと、とりあえず、あれこれ試行錯誤はするのです。しかし、結局、医者カウンセラーへ誘導し、「○×障害」とか「△△病」とか、症状に名前が付けられて、職員(ボク)自身は個人的な対応から解放されて一安心するというようなことが、何度もあったわけですが、その、何度もの、当の子供たちに安心がやってくることが、一度でもあったわけではありませんでした。子どもたちは、どうしようもない生きづらさを抱えて、そのまま社会に出て行ったのでした。そんなことを思い出しながら見ていると、映画の終盤、逃げていくベニーを追いかけながら、
​​諦めて立ち尽くしてしまう通学付添人ミヒャの姿​​
 ​​​​が映し出されました。ミヒャは、この映画の中でベニーとつながる可能性を感じさせる数少ない人物だったのですが、そのが立ち尽くすのを見て、ボク自身が打ちのめされたような気分になりましたね。​​​​
​​​​​​​​​​​​​​​ 監督は情け容赦なく、ベニーのありのままを描いていきます。見ているこちらに、共感や同情、あるいは理解さえ求めているニュアンスはまるでありません。
​​打てるもんなら打って見ろ!​​
​​​ といわんばかりの剛速球です。しかし、徘徊老人はこの少女ベニーと、映画を撮ったノラ・フィングシャイトという監督に鷲づかみにされてしまったんです。 少女ベニーに対しては、さすがに、どうしてあげたらいいのかはわからないのですが、​​
​​ガンバレ、あなたは何も悪くない!​​
 という気持ちだけは伝えてあげたいんですよね。
 飴玉くわえている上のチラシの顔
​イイでしょう!(笑)​
 これ演技なんですよね。ベニーもすごいですが、演じた​​​ヘレナ・ゼンゲルという少女もすごいですね。​​
​拍手!​
​​ それから、70になろうかという老人に、そんなふうに豪速球を投げ込んだ監督さん、確かに、少々高めでアッ!と思いましたが、すばらしい作品だと思いました。アホな感想しか書けなくてごめんなさいね、でも、あなたのボールの威力は腹に応えましたよ。
​​拍手!​​
 でした。
​​​​​​​​​​​​​​​​​ 

監督・脚本 ノラ・フィングシャイト
撮影 ユヌス・ロイ・イメール
編集 ステファン・ベヒャンガー
音楽 ジョン・ギュルトラー
キャスト
ヘレナ・ゼンゲル(バーナデット「ベニー」・クラース)
アルブレヒト・シュッフ(非暴力トレーナー:ミヒャ)
ガブリエラ・マリア・シュマイデ(ソーシャルワーカー:バファネ)
リザ・ハーグマイスター(母:ビアンカ・クラース)
メラニー・シュトラオプ
ビクトリア・トラウトマンスドルフ
マリアム・ザリー
テドロス・テクレプラン
2019年・125分・ドイツ
原題「Systemsprenger」
2024・05・04・no064・元町映画館no244





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追記
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最終更新日  2024.05.23 23:58:52
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