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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2024.08.02
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​村田喜代子「龍秘御天歌」(文藝春秋社)​
 2024年、まあ、今年の夏のはじめに「ちゃわんやのはなし」という、十五代沈壽官さんという、薩摩焼の当主を追った、実に味わい深いドキュメンタリー映画を見たときに、思い出した本三冊あったのですが、その一冊が、今日案内するこの小説です。
 村田喜代子「龍秘御天歌」(文藝春秋社)ですね。1998年、ですから、25年も前に「文学界」に発表され、その後、単行本として出版され、今では文庫で読むことができる作品ですが、映画で、歴史事実の解説として、アニメーションで描かれていた薩摩焼の初代と同じく、まあ、「ちゃわんやのはなし」の登場人物たちは
500年の歴史の中を生きていらっしゃった!​
​ わけですが、本作は、同じ、慶長の役で拉致されて、日本で窯を開いた朝鮮の陶工初代葬式を、慶長の役、丁酉(ていゆう・ひのととり)倭乱から、ほぼ、50年後江戸時代初期という時代と、黒川藩という、多分、有田あたり架空の藩設定することで、
小説的想像力を奔放にふるって描いた作品!​
​ です。 
 初七日を迎えると、忌中の家はいちおう普段の暮らしにもどる。龍窯で知られた辛島家にも精進落としの日がやってきた。朝の内に檀那寺の願正寺で内輪だけの法要をすませた。その後に精進落としの酒肴を弔問客に出すのだが、これは皿山の土地柄で一日の窯仕事が終わった夕方から席を設ける。
​​ これが書きだしですが、すでに、日本名を名乗っている龍窯という窯の窯元、辛島家の初代、当主、十兵衛が亡くなり、通夜、葬儀、埋葬が滞りなく終わったかの初七日の法要のシーンから始まりますが、ここから250ページ、小説が描いているのは
一人の人間の死と魂のゆくへをめぐる、夫婦、親子、一族のドラマ​
 ​でした。
 引用個所から、亡くなった十兵衛の跡取り、長男の十蔵が、参会者に向かって挨拶を始めますが、描かれるのは屋敷の客間、中の間、下の間に集う50人を越える人間たちの、一人一人の身分、年齢一覧でした。
 上の八畳間は外からの客で、顔ぶれはこうだ。
 皿山代官所からは、下目付の柳番太郎。取り締まり方の市田佐内。町役からは、赤絵付庄屋の団六。大散使の問屋おこない屋喜平。村役の俵山窯焼き宗八。別当の河原山窯焼き藤次郎。散使の窯焼き亀平。被官の豊田常臣。
 中の間は窯の働き手たちで占められていた。ざっとこうである。
 喪主十蔵は四十四歳。故十兵衛の妻の百婆、七十歳。故国朝鮮の習慣で女隠居は通り名で呼ぶ。百婆とは窯の者がつけた尊称だ。次男、ロクロのの以蔵、三十三歳。四男で同じく窯焚き兼良、三十三歳。十蔵の長男でロクロの兵太、二十歳。次男でロクロの参平、十七歳。以蔵の長男で窯焚きの以助、十九歳。次男で窯焚きの以作、十七歳。雇い人でロクロの権十、七十歳。権十の長男で同じくロクロの清助、四十歳。次男で同じくロクロの市次、三十七歳。故万治の長男で窯焚きの寅吉、四十七歳。次男で同じく窯焚きの熊吉、四十五歳。万治の女房で呉須すりのアカ、六十八歳。釉かけの伊十、七十二歳。
 下の八畳には十蔵の嫁で型打ちのコシホ、三十八歳。以蔵の嫁で同じく型打ちのオクウ、三十七歳。元良の嫁でだみ手のアカイ、三十一歳。兼良の嫁でだみ手のイヌ、二十五歳。他に雑役の荒仕子、薪の皮はぎなど住み込みの者たちと、辛島家の子供たち十数人で、締めて五十余名。
​ ここまで、この初七日の席に座っている人の名前を真面目に読んできた人はえらいと思います。写しているボクも、ちょっとエライ。で、何で、この個所を引用したのかといいますと、一つは
​葬式とはこういうものである!​
 という作家の視線というかを、とりあえず紹介したかったわけです。ここではまとめて引用しましたが、作品では、一人一人、行分けして描かれています。
 で、二つ目は、今、この席に座っている伊十という、辛島十兵衛と流浪を共に生きてきた老人がどんな気持ちでここにいるかというところから、この七日間に、辛島家の葬儀の現場でおこったドラマ、つまりは作品全体の二重構造が見え始めるという、とっかかりを、案内しないわけにいかないと思ったからですね(笑)。
 七日目に行う日本の精進落としじたい、伊十には納得がいかない。坊主がきて経をあげた後は飲み食いだけで忌み明けとなる。伊十の故国では死者を出した家は、三年間も忌み明けはできない。葬式後七日目といえば、喪主は故人を埋めた墓地に仮小屋を建てて寝泊まりし、仕事もなげうって朝に晩に膳を差し上げ、地へ頭をすりつけて礼拝に励んでいる頃だ。国が異なると弔い方も違うのは仕方がないが、何と想いの薄いことだろう。
 目脂にかすむ目で伊十はもう一度、座敷中を眺めた。すると賑や耀かな人々の背後に、白麻の喪帽に喪服をつけた影法師のような一群がぼーっと居並ぶのが見えた。異相の彼等は動かず塑像のようでもある。しかし顔を見ればそれは伊十の仲間たちばかりだ。
 故辛島十兵衛こと張成徹(チャンソンチョル)。百婆こと朴貞玉(パクジョンオク)。
長男十蔵こと張正浩(チャンジョンホ)。十蔵女房コシホこと権麗喜(クォンコヒ)。次男以蔵こと張太浩(チャンテホ)。以蔵女房こと韓青玉(ハンチョンオク)。三男元良こと張永浩(チャンヨンホ)。四男兼良こと張秀浩(チャンスホ)。十蔵長男兵太こと張衛善(チャンウィソン)。次男参平こと張明善(チャンミョンソン)。以蔵の長男以助こと張光善(チャングワンソン)。次男以作こと張順善(チャンスンソン)。ロクロの権十こと韓大中(ハンデジュン)。長男清助こと韓植元(ハンシグオン)。次男市次こと韓植耀(ハンシギョ)。故万治こと李則一(イチギル)。女房アカこと金明順(キムミョンスン)。長男寅吉こと李延吉(イヨンギル)。次男熊吉こと李延泰(イヨンテ)。藤次郎こと権会雄(クォンフェヨン)。亀平こと張日徹(チャンイルチョル)。
 故郷全羅道(チョルラド)の田舎では秋になると胡桃がいっぱい熟れた。わし達は実を厚い殻の中に閉じこめた、あの胡桃そっくりだなあ、と伊十こと韓則陽(ハンチギャン)は思った。​​
​ それぞれ、座敷に座っている人たちが、もう一度眺め直されていることがお分かりになるだろうと思いますが、この作品の面白さは、こうして作家が描き始めた目の前の世界を朝鮮の魂が底流する二重構造とあつらえたところにあると思いますが、この後のワクワクするような展開の主人公は、百婆こと朴貞玉(パクジョンオク)ですね。
​​​​​​​ 龍窯という窯を夫十兵衛を支え、伊十権十を励ましてつくりあげ、を産み、子供たちの妻子を教育してきた、百婆という女性の、自由でおおらかで気骨に満ちた振舞いのすばらしさは、ちょっと言葉では言えませんね。まあ、お読みになって、お確かめください(笑)。
​​​​​​​ 映画「ちゃわんやのはなし」で、たしか、​十四代沈壽官​を支えた​お母さんだったか、十五代の奥さんだったが、になって​​​​​​登場するシーンがありましたが、
​「あっ、百婆だ!」​​
 でしたね。
 これで、「ちゃわんやのはなし」で思い出した二冊目の案内終了です。あと一冊ですね。​​​残すは「パッチギ・対談編」です。​​ガンバリマス!​

​追記2024・08・03
​​​​ この小説の題名の「龍秘御天歌」についてですが、「龍飛御天歌」という、15世紀、朝鮮の李王朝の頃編集された、王朝礼賛歌集があるそうです。ボクは読んだことはありませんが、村田喜代子さんが、その歌集を意識において大目をお付けになったことは確かでしょうね。​​​​



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 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)​​​​
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最終更新日  2024.08.09 00:24:45
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