朝倉裕子 詩集「母の眉」(編集工房ノア)
そのとき
子どもが生まれて
おばあちゃん
と呼ぶようになった
部屋には
かすかに
でも
規則正しく
呼吸の音
幼い日のように
おかあちゃん
と呼んでみる
もう
返事はない
握った左手に
握りかえす力もない
詩人は1952年生まれの女性です。彼女が子供産んで、母親のことを「おばあちゃん」と呼ぶようになった時から、おそらく30年以上の時がたっていて、今、彼女自身も「おばあちゃん」と呼ばれているのではないか。そんな思いが、詩人より少しだけ年下の読者であるボクには浮かんでくる詩です。
「おかあちゃん」と耳元で囁いても、もう、握りかえしてこない母との「そのとき」が、静かに浮かんできます。
偶然、知り合いになった朝倉さんが、新たに上辞された詩集「母の眉」を贈ってくださいました。飾らない言葉でしるされた詩を読みながら、朝倉さん自身が今日まで生きていらっしゃった「時」とともに、自分自身の「時」を彷彿とする詩集でした。
追記
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