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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2024.09.10
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​​ノーム・チョムスキー「9.11 アメリカに報復する資格はない」(文春文庫)
​​​ なんか、いい加減な連想なのですが、「エターナルメモリー」という、チリのドキュメンタリー映画を見たので調べ直していると「9.11」という日付が出てきて、チリのほうが本家、というような話に出合って思い出したのがこっちの本でした。​​​
​ ノーム・チョムスキー「9.11アメリカに報復する資格はない」(文春文庫)ですね。​
 9月11日に起きた恐るべき残虐テロは、世界の出来事においてきわめて新しいものである。規模とか性質の話ではない。標的が違うのだ。米国は1912年の英米戦争以来、本土を攻撃されたことはなく、脅威すら受けたことがない。
 多くのコメンテイターが真珠湾と対比したが、これは誤解を招く。1941年12月7日に攻撃されたのは、二つの米国植民地にある軍の基地だった。米国はハワイを「領土」呼ばわりするのを好んだが、実際は、領土ではなく植民地だった。過去数百年の間に米国は土着民(何百万もの人々)を絶滅に追い込み、メキシコの半分を征服し、(事実、土着諸族の領土であるが、そのことをは今日の話題とは別問題である)、周辺地域に暴力をもって介入し、ハワイと、(数10万のフィリピン人を殺害し)フィリピンを征服した。
 以来、特にこの半世紀間に、世界の大部分に武力による政策を押し広げてきた。その犠牲者は膨大な数に上る。そのアメリカ本土に初めて、銃口が向けられた。これこそ、劇的な変化である。

 同じことは、欧州についても、アメリカ以上に劇的に当てはまる。欧州は、殺人的な破壊を蒙ってきたが、これは内戦による破壊だった。
 一方で、欧州列強は世界の大半を極度の野蛮さで征服した。ごく稀な例外はあるけれども、被害を与えた外国に攻撃されたことはない。英国がインドに攻撃されたことはないし、ベルギーがコンゴに攻められたこともなく、エチオピアがイタリアに攻め込んだ話も、アルジェリアがフランス(フランスはアルジェリアを「植民地」と見なしていないが)を攻めた話も聞かない。だから、9月11日のテロに欧州が、すっかりショックを受けたことは、驚くに当たらない。ただし、再度言うが、残念ながら、テロの大きさに衝撃を受けたのではない。

 これからいったい何が起きるのか、誰にも見当がつかない。しかし、これが目覚ましく新しい事件であることだけは、一目瞭然である。
 ​​​第1章の冒頭です。2011年、9月13日イタリアの「イル・マニフェスト」という雑誌のインタビューですね。
 出来事の新しさについて、歴史的に振り返っているわけで、論旨は明快だとボクは思います。ボクたちは歴史的な現在に生きているということですね。
 で、その結果、次に何が起こるのか予測もできると考えてきたわけですが、未来が予測不能なことを明らかにしたのが9.11だったというわけです。​​​

​​​​​​​ チョムスキーという人は世界的な言語哲学者で、MITの教授だった人です。
 で、この事件をめぐるこの本にまとめられている、インタビューやラジオ放送での発言で、過激な反アメリカ主義者とか言われたりして10年たちました。日本で本になったのは2001年の11月、文庫化されたのが翌年ですが、その頃、傍線だらけにして読んだ記憶があります。「言語哲学」には歯が立ちませんでしたが、こちらはインタビューですからね。​​​​​​​

​​​​ その後、エドワード・サイードが、パレスチナを論じるとき参照されたり、講演が映画になったりしましたが、まあ、ボクなりの読み方ですが、
「歴史的現在からの視点の大切さ」
​ とでもいうべき考え方をきちんと理解して、世界を見たいと思ってきました。​​​​
​​​​​ 「エターナルメモリー」というチリの映画の主人公たちを見ていて思い出したことですが、アジェンデ以後のチリの軍事独裁を援助したのはどこの国だったのか、チリのキューバ化を恐れて暗躍したのは、どこの国の情報機関だったか、直接の戦争状態に介入したのではないので、評判になりませんが、映画の主人公たちが戦った相手は、自国の独裁者だけではなく、それを支えた、どこかの国だったんじゃないか、そして、今、主人公は、自分が命がけで記録した「歴史の事実」が、平気でないがしろにされることがありうることこそ恐れているのではないかということでした。​​​​​
​​​​​ 本書にもどりますが、チョムスキーが、どのくらい「反アメリカ」的な人なのか、あるいは、そうではないのか、この1冊で概ね判ると思います。ボクは「反アメリカ主義」などではないと思いますが、まあ、全部で、150ページくらいの薄い文庫本です。自分で読んでお確かめください。
 一応、目次を貼っておきます。​​​​​
目次
第1章 真珠湾と対比するのは誤り
第2章 ブッシュ政権が取るべき方法9.20 9.21
第3章 なぜ、世界貿易センタービルか
第4章 アメリカは「テロ国家の親玉」だ
第5章 ビンラディンの「罠」
第6章 これは「文明の衝突」ではない
第7章 世界に「明日」はあるか
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 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)​​​​
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最終更新日  2024.09.11 12:41:42
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