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カテゴリ:読書案内「社会・歴史・哲学・思想」
ノーム・チョムスキー「9.11 アメリカに報復する資格はない」(文春文庫) なんか、いい加減な連想なのですが、「エターナルメモリー」という、チリのドキュメンタリー映画を見たので調べ直していると「9.11」という日付が出てきて、チリのほうが本家、というような話に出合って思い出したのがこっちの本でした。
ノーム・チョムスキー「9.11アメリカに報復する資格はない」(文春文庫)ですね。 9月11日に起きた恐るべき残虐テロは、世界の出来事においてきわめて新しいものである。規模とか性質の話ではない。標的が違うのだ。米国は1912年の英米戦争以来、本土を攻撃されたことはなく、脅威すら受けたことがない。第1章の冒頭です。2011年、9月13日イタリアの「イル・マニフェスト」という雑誌のインタビューですね。 出来事の新しさについて、歴史的に振り返っているわけで、論旨は明快だとボクは思います。ボクたちは歴史的な現在に生きているということですね。 で、その結果、次に何が起こるのか予測もできると考えてきたわけですが、未来が予測不能なことを明らかにしたのが9.11だったというわけです。 チョムスキーという人は世界的な言語哲学者で、MITの教授だった人です。 で、この事件をめぐるこの本にまとめられている、インタビューやラジオ放送での発言で、過激な反アメリカ主義者とか言われたりして10年たちました。日本で本になったのは2001年の11月、文庫化されたのが翌年ですが、その頃、傍線だらけにして読んだ記憶があります。彼の「言語哲学」には歯が立ちませんでしたが、こちらはインタビューですからね。 その後、エドワード・サイードが、パレスチナを論じるとき参照されたり、講演が映画になったりしましたが、まあ、ボクなりの読み方ですが、彼の 「歴史的現在からの視点の大切さ」 とでもいうべき考え方をきちんと理解して、世界を見たいと思ってきました。 「エターナルメモリー」というチリの映画の主人公たちを見ていて思い出したことですが、アジェンデ以後のチリの軍事独裁を援助したのはどこの国だったのか、チリのキューバ化を恐れて暗躍したのは、どこの国の情報機関だったか、直接の戦争状態に介入したのではないので、評判になりませんが、映画の主人公たちが戦った相手は、自国の独裁者だけではなく、それを支えた、どこかの国だったんじゃないか、そして、今、主人公は、自分が命がけで記録した「歴史の事実」が、平気でないがしろにされることがありうることこそ恐れているのではないかということでした。 本書にもどりますが、チョムスキーが、どのくらい「反アメリカ」的な人なのか、あるいは、そうではないのか、この1冊で概ね判ると思います。ボクは「反アメリカ主義」などではないと思いますが、まあ、全部で、150ページくらいの薄い文庫本です。自分で読んでお確かめください。 一応、目次を貼っておきます。 目次
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最終更新日
2024.09.11 12:41:42
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