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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
ファニー・ブロイニング「旅路」元町映画館 神戸の元町映画館だけで、先週の11月9日の土曜日から1週間、ヘルヴェティカ・スイス映画祭というスイス映画上映の企画をやっていました。気になっていたのですが、何故か、ちょっとお忙しの1週間で
「まあ、いいか」 とか思っていたのですが、映画館の前を通りすがると 「なぜ来ないんですか?」 とか声をかけられたりして、 「まあ、最後の1本はお愛想して行けそうだ。」 というわけで、最終日の11月15日の金曜日にやっと出かけました。で、これがチラシですね。 見たのはファニー・ブロイニングという女性の監督の「旅路」という作品でした。 イヤーぁ、ビックリ仰天! 拍手!拍手! でしたね(笑)。 映画は1頭のイルカが海を泳ぐシーンで始まりました。 スイスなのにイルカかよ? まあ、何の知識もないこともあって、そんなことを考えならが見始めましたが、最後に同じシーンが映し出されて、で、暗転した時には そうか、全身を躍動させて、水しぶきをあげて泳ぐイルカか。そうだよな、それが、生きることだよな!と、つくづく納得したのでした(笑)。 おそらく30代で、所謂、多発性硬化症と呼ばれている症状を発症し介護的補助なしではベッドから起き上がることもできない女性と、写真家だった仕事をやめ、その女性の介護のために24時間付き添い続ける男性という夫婦が、キャンピング・カーでギリシア旅行をする様子を、二人の娘であるファニー・ブロイニングという監督が撮ったドキュメンタリー映画でした。 二人は美術大学の同級生で、この旅をした2018年当時、68歳だったかという老夫婦です。 イラストレイターだった妻アネッティが若いころに描いた1枚のイラスト、縦横にたくさんの、多分、同じ女性の姿が繰り返し描かれていて、足が消えていたり、手が消えていたり、クイズのようなその絵が娘のファニーのお気に入りだったというナレーションとともにクローズアップされて、続けて夫婦の日常生活の様子が映し出されます。で、夫のニッギが寝たきりの妻アネッティに美しいギリシアの自然を見せようと旅に出る決意をし、キャンピング・カーを改造しはじめます。アネッティは旅にそなえて洋服や下着、化粧品の用意を介護士の女性に頼みます。 で、旅が始まります。助手席がアネッティの定位置です。後ろに改造ベッドがあって、車中泊です。フェリーに乗り甲板に出たり、遺跡を訪ねたり、海辺や市場、噴煙を上げる山、沈む夕日、自動車を止め、とにかく車椅子で行ける場所へアネッティを運ぶのはニッギの役目です。 親指が痛い・・・ とニッギが顔をしかめ、 もっと、大勢の人と出会える家に帰りたい・・・ と娘に甘えるアネッティのつぶやきが聞こえてきて旅も終わりのようです。イルカが泳ぐシーンが映り、画面は暗転しました。 ここまで、触れませんでしたが、旅のシーン、シーンには娘が母に問い、父に問う会話と、若かりし日の二人と家族の写真が挿入されます。それが、もう一つの「旅」を描いていく印象です。 ドイツ語ではIMMER UND EWIGと題されているようで、まあ、「ずっと永遠に」くらいの意味だと思いますが、映画が描いている二人が生きてきた、そして生きていく旅の姿は、二人の境遇のものすごさを超えて、映画を見ている70歳の老人を励ますのでした。イルカのように全身で泳いで生きる姿は、病身のアネッティの希求であるのは勿論ですが、世話をしているニッギの希求でこそあるのだというファニー・ブロイニングの穏やかな声が聞こえて来るかの作品でした。 映画に映るすべての人と美しい世界に拍手!でした。 これが、今回のヘルヴェティカ・スイス映画祭のラインアップです。来年以降もやるようです。来年は頑張って見たいですね(笑)。 監督 ファニー・ブロイニング 原題「IMMER UND EWIG」 2018年・85分・スイス ・スイスドイツ語 2024・11・15・no147・元町映画館no265
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最終更新日
2024.11.16 02:40:32
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