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カテゴリ:読書
大好きな小説家桐野夏生、本日は「OUT]の感想を。
コンビニ用の弁当工場で、夜勤パートして働く主婦、雅子が主人公です。 ベルトコンベアーの一部のように常にノルマに縛られて、外国人労働者達と何千食ものお弁当を朝まで作り続ける毎日。 それだけでも救いがないのですが、家庭でも会話のない会社員の夫と息子との生活。 貧しい生活の中、寝たきりの母の介護で疲れているヨシエ。 考えもなく借金を重ねてしまいどうにもならなくなっている邦子。 もうひとりの仲間が起こしてしまう殺人、その夫の死体を、雅子が中心となり自宅で始末してしまうところから、彼女たちのOUTぶりが、生々しく描写されていきます。 一見どこにでもいるような主婦達が、死体をバラバラに解体して処理してしまう! 現在の日本でも、もつ者もたざる者との差は歴然としていますが、日常生活に不満があるからといってこんなことはあり得ないと思いながらも読み続けます。 人はある一定の限界を超えてしまうと(OUT)、次々と犯罪を重ねてしまえるものなのか?との思いは最後まで頭から離れることはありませんでした。 しかし、雅子と佐竹との対決シーン。ひとりでブラジルまでも逃避行を続ける雅子の強すぎる生き方に、これは桐野夏生自身か?または作者の願望の現われか?と。 犯罪小説と言うよりも、ハードボイルド小説として楽しんでしまったのです。 作者の筆力に、圧倒されました。 一昨年、アメリカでも評価され、エドガー賞日本人初のノミネートは記憶に新しいところ。 NYでの授賞式(結果はイギリス人作家が受賞)での、黒のドレス姿は、美しくカッコイイ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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