|
カテゴリ:読書
本日は、小池真理子作「水の翼」の感想など。
昭和40年代、仙台市内に木口木版の版画家柚木宗一郎と暮らす、まだ年若い妻紗江。 家庭生活も順調な柚木は、理想とする詩人「壬生幸作」の未発表の詩「水の翼」の仕事を依頼される。 時を同じくして、東北大学の学生東吾が弟子入りし、柚木の仕事を手伝うようになる。 木口版画・・・・一本一本の線が細い非常に繊細な美の世界。 光と闇の線が織りなす、深く底知れない迷宮のような世界・・とのことです。 柚木本人も、魅力的な人物として書かれています。 その制作途中の柚木の死により、東吾がその意思を継いで制作を続けるのであるが。 突然に仙台と紗江のもとを去ってしまう東吾(自己の中の美のみを目指す)、待ちわびる紗江(愛する人には愛の全てを捧げる)との対比。 紗江と共に読者の私達も意外な結末を迎えます。 この小説も、仙台を舞台とし学生運動盛んな1970年代を書いた、小池ワールドです。 浅間山荘事件、三島由紀夫も背景となっています。 壬生幸作の詩といい、作者の美意識全開ですね。 それにしても紗江・・・こんなにも愛し愛されることが現実に??? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書] カテゴリの最新記事
|