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2006.07.15
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カテゴリ:映画・DVD・VIDEO
この映画は以前から見たかったもの。
サドの語源になったサド侯爵とそれを取り巻く人々のお話。
キャストがかなり豪華、お気に入りの俳優が出ています。
ナポレオン体制下のシャラントン精神病院が舞台となっています。
ナポレオンの命を受けてロワイエ・コラール院長が赴任してくるところから、ストーリーが始まります。 
クルミエ神父=ホアキン・フェニックスにより、特別待遇を受けていたマルキ・ド・サド=ジェフリー・ラッシュ。
精神病院存続のために小説を書かないことを約束させられますが、院長が祖父と孫娘ほど年の離れた若い妻を修道院から連れて来た事を聞き、それをお芝居にしてしまうのです。
劇場は閉鎖となり、マルキは紙とペン(クイルズ)を取り上げられます。
それでも、シーツにワインと鳥の骨で物語を書く。
室内の全てのものを取り上げられると、次は指を切った血で自分の服・全身に書く。
マルキの理解者であり読者・代筆者のマドレーヌ=ケート・ウィンスレット(いさぎよさと大物ぶりが好き!)とマルキ・クルミエの3人の関係は微妙で、時には官能的です。
映画はクライマックスへ。
病院から遠ざけられてしまうマドレーヌの依頼で最後の物語が、患者から患者へと口伝えで書かれます。
その最中にマドレーヌが殺されてしまいます。
このあたり、3人の伯仲の演技で迫力も充分なのです。
舌を切られたマルキは自分の排泄物で物語を書き、死を迎えます。
ロワイエを演じるマイケル・ケインは、一時A級からB級まで出演作を選ばない名優と言われた時期もありましたが、この役では、マルキを上回るほどのサドぶりで、表情を変えずいやらしさを出していました。
皮肉にもその若い妻はマルキの小説の影響か?若い職人と家を出て行ってしまいます。

その後、平気でマルキの小説を印刷して利益を上げているところにも俗人ぶりが出ています。
クルミエが最後患者となって、紙とペンを求めるところで、この映画は終わりです。
今まであまりその良さが分からなかったホアキン・フェニックスですが、この役は良かった。
その暗い目元に、心の迷いのようなものが出ていました。

「美徳を知るには、悪徳を認めなくては」「それではじめて人間の深さが分かる」と映画は締められています。
「ライジング・サン」ではさんざんだったフィリップ・カウフマン。
「存在の耐えられない軽さ」と共にこの映画も傑作です。





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Last updated  2006.07.15 18:20:43
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