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カテゴリ:読書
作家の吉村昭氏が、31日79歳で亡くなった・・・今日の新聞で知った。
作品そのものはあまり読んでいないのですが。 10年以上前になるだろうか、日光市の図書館に講演にいらっしゃるのを知り何人かのお友達と聞きに行ったことを思いだした。 ご自分の結核の闘病中の思い出、奥様津村節子氏とのこと。 なんと言ってのご自身の書いた作品に対するこだわりが印象的であった。 ひとつの作品を書き上げるためには、現地に何度も何度も足を運び事実を取材しそれを元に書き上げる苦労。 しかし書かれた作品が、映画化・TV化されるときには電話一本ですまされてしまうのです・・と苦笑しながらお話しされていました。 あんな田舎で、氏の作品の読者がどの程度いるかも分からない状況の中、あの独特の渋いお声での誠実な一生懸命な講演内容を思い出します。 「漂流」実際に江戸時代に絶海の孤島に漂着し十数年かけて戻ることが出来た船乗りのお話です。 食べるものは勿論、水・着るものも全くない暮らしの中、仲間達は次々と死に。 ひとり残された主人公の孤独感、しかしその諦めることのない前向きな生き方・意志の強さを、淡々ともいえるくらいに書いているのですが、心に残る作品です。 「破獄」これも太平洋戦争前後に脱獄を4回もした、実際にあった男の話です。 不可能と思われていた高さの壁をはい上ってしまったり、みそ汁の塩分で手錠のねじ・鉄格子を腐食させて脱獄してしまうこの男の体力・頭の良さ・計画性には感嘆! 「仮釈放」妻殺害で服役後、養鶏場に勤めてささやかな再婚もするのですが、またしても悲惨な出来事が起きてしまう。 他にも「大国屋光太夫」(井上靖の「おろしゃ国酔夢嘆」は読みましたが、吉村版は未読)。 「天狗争乱」は、朝日新聞に連載されました。 ご本人はなくなりましたが、書かれた本はこれからも読むことが出来る! その力作の数々をこれからも読んでいきたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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