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カテゴリ:読書
これは、交通事故により記憶が80分しかもたなくなってしまった数学博士、家政婦の私、私が18歳で生んでひとりで育てた息子ルート(頭の形から博士が命名)の3人の物語です。
背広には必要と思われるメモ、「ぼくの記憶は80分しかもたない」と書かれているメモも。 私は新しい家政婦として博士のところに行くのですが、博士の記憶がもたないところから、それは常に初対面であり、博士は毎回誕生日や靴のサイズを尋ねるのです。 いつしかルートも加わった3人の静かで穏やかな日々が続いていくのですが・・・ そのあたり、作者の表現力もあり、読者にも容易にその場面が想像できてしまいます。 博士の幼い物に向ける愛情の純粋さには、言葉を失うほどです。 異性だけでない、人が人を愛することの素晴らしさが書かれていて、胸をうちます。 記憶を持たない人間の悲しみも。 過去は存在しない、現在のみであり。。。 毎朝、目が覚めてメモを見るたび、自分がかかっている病気と向き合い、そのメモによって宣告されてしまう。 しかしその80分のテープさえ壊れてしまい、博士が最大に難しい数式を解いた記念・ルートの11歳のお誕生日を迎えた記念パーティが、3人にとり最後になってしまいます。 博士は専門の医療施設に入り、私と(22歳で数学の先生になることが決まった)ルートとふたりで会いに行くのですが、博士の記憶はその場の現在だけであり未来さえももう危ういのです。 数学嫌いでも読むことの出来る心に残る名作です。 すでに、博士=寺尾聡主演で映画化もされています。 キャストのイメージはぴったりだと思いますが・・・自分の記憶の中だけの物語として、そっととっておきたい・・・・・ 日曜に梨を買ってきましたが、また沢山頂いてしまった。 こんなに、誰が食べるん? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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