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2006.10.19
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カテゴリ:読書
久しぶりに宮部みゆきの本を読んでみました。
「火車」「蒲生邸事件」「クロスファイア」「理由」「模倣犯」と読みましたが、今回のは比較的軽めでしょうか。

私・杉村三郎は、今田コンツエルンの娘・菜穂子と結婚して7年、娘桃子と3人で幸せに暮らしていました。
今田会長の運転手である梶田信夫が、自転車にはねられて激しく転倒し死亡します。
その死亡原因、犯人、死亡の時の状況を知りたい梶田のふたりの姉妹から、犯人逮捕のためにも役立つと思われる梶田の本の出版を依頼されます。
梶田の過去を調べ始める、杉村であったが、ふたりの姉妹、聡美と梨子には別々の思いがあるのです。

梶田の運転手をする前、トモノ玩具での同僚の野瀬祐子の父親の遺体の運搬を手伝い山中に埋めたという忌まわしい過去が浮かび上がってくるのです。
梶田夫婦には決して人には言えない過去があり、当時4歳だった聡美もその時の恐ろしい記憶から逃れることは出来ずに今を迎えてしまっているのです。
そのことから何年も経って生まれた梨子は、のびのびと自己主張をする娘なのですが、両親が姉ばかりを頼りにしているとのコンプレックスからか、聡美の愛する男性を自分の物にしてしまうのです。

発端は小さな事故なのですが、関わる人々はそれぞれの思いを持っています。
平凡で日常生活は安定し幸せに見える毎日を送る人々。
杉村自身が「逆玉」と言われる立ち場ですが、菜穂子が正妻ではない今田の愛人の子供である微妙な位置にいるのです。
人は人との関わりが、人生を作っていくものなのですね。
杉村に投げかける姉妹ふたりの言葉もそれぞれ辛辣です。その生き方も後味の悪さが残ります。

物語の展開はゆっくりと丁寧で、その人自身の哀しみは丁寧に描かれていると思います。
杉村の母親の言葉も毒が含まれていますが、真実をついています。
宮部ワールドは、健在でした。





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Last updated  2006.10.19 11:38:01
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