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カテゴリ:読書
前回の直木賞受賞作「容疑者Xの献身」後に、書かれた一作目がこの「赤い指」です。
東野作品でお馴染みの加賀恭一郎刑事シリーズでもあります。 どこにでもいるような平凡な男・前原、ごく普通の生活を送っていたはずでしたが、実は家庭内の面倒な事柄からは目を背け続けて日々過ごしていました。 結婚、子育て、認知症の親との同居、本人の自覚もないうちに人生の歯車が少しずつ狂ってきているのです。 ある日帰宅途中に行方不明になった子供を探す親を見かけます。 そして家に帰ってみると、自宅の庭に何とその子供の死体が庭に転がっているのです。 中学生のひとり息子・直巳の犯行でした。 妻と相談し、その死体を公園に遺棄し、それでも追いつめられた結果、殺人の罪を自分の老いた母親のせいにしてしまうのですが。。。 全ては息子のため、また息子が暴れ出して自分たちの手に負えないことを恐れて。 この全てを親のせいにしてしまうこらえ性のない息子と、母親・八重子の無責任ぶりは呆れるばかりです。 そして老いた母が警察に連行されるギリギリのところで、このタイトル・赤い指の意味が解るのです。 現代の子育て、引きこもり、介護、現代社会の抱える問題点をうまくついています。 加賀刑事の活躍ぶりも読ませます。 家族間の愛憎、人間の愚かさを描いて、引き込まれてあっという間に読んでしまいました。 ただ登場人物それぞれの抱える孤独は重く苦しいものです。 ここまでではなくも、誰にでも起こりうることとして、読後感は重く切ないです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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