タンゴのレッスン
先日、アルゼンチンタンゴダンスのレッスン後、先生から呼び止められ、今日は「very good」だったとほめられた。5年ほど前から折に触れレッスンを受けている先生だが、こんなふうに面と向かってほめられたのは初めてで、びっくり。今月はとくに翻訳の仕事が立て込んでいてパソコンに張り付きっぱなしだったので、肩から背中にかけてコリがひどく、ちょっと首を動かしただけで「あいたたた・・・」という状態だった。座りっぱなしで膝裏も固まっていたし、エクササイズもろくにできなかったので身体がちゃんと動くか不安でもあった。きっとおこられるだろうなあ、と思いつつレッスンにのぞんだのだ。が、いざ踊ってみると、なんだか調子がいい。身体の各部のisolation(区別)とintegration(統合)がスムースにいく。上半身で相手をしっかりとらえつつ、下半身は自由に動く。まさに相手と一体という感じ。ぜんぜん練習できてなかったのになぜ? ひとつ思い当たるのは、パソコンで仕事をしながらも、身体のアラインメントを意識していたこと。がんばってよい姿勢をとろうとするのではなく、崩れた姿勢でも(毎日10時間以上もデスクワークをしていればどうしたって崩れてくる)身体の中を通る線を意識していた。姿勢は崩れているので、直線ではなく、曲線になるが、それでも線を意識すると、関節の間が伸びて身体が楽になるようだ。もうひとつは、手の平と足裏の感覚を意識していたこと。最近、日本のアドバンスト・ロルファーHさんの講義をうかがう機会があり、その後、ドイツ、アメリカのアドバンスト・ロルファーの論文をいくつか読む中で、身体が四方に広がっていくような、方向感を持つことの意味を再認識した。手と足、あるいは頭上と坐骨を意識することで、コアの筋肉群がオンになり、身体が自然にサポートされる。エクササイズをしていなくても、意識することで自然と鍛えられていたのかもしれない。タンゴを始めたばかりのころは、「腹筋が弱すぎる。毎日1000回腹筋しなさい」と言われ、さすがに1000回はできなくて小さいのを200~300回くらいやっていたが、筋トレなんてほとんどしていない今の方がよっぽど腹部のサポートがしっかりしている。身体全体のバランスがサポートを助けているというだけでなく、実際の腹筋も太く強くなっているようだ。人間の身体ってほんとうにおもしろい。来週もレッスンがある。前回がまぐれとならないよう、さらに分析して、今度はもっと自覚的に良い状態を作ってのぞもう。