デューン-砂の惑星-(デビット・リンチ版)
今回見た映画は「デューン-砂の惑星-(デビット・リンチ版)」。1984年12/24日にアメリカで公開(日本では1985年3/30に公開)。監督は「エレファント・マン」「イレーザーヘッド」「ツイン・ピークス」で知られるデビット・リンチ。(脚本も兼任)壮大な原作と比べてダイジェスト的な内容だったことから原作・SFファン、作者のフランク・ハーバートからも不評で興行的に失敗し、リンチは「最終決定権が監督自身になかったことから、大変悔しい思いをしたし、残念な結果を迎えた」と自伝で回想しているし、アレハンドロ・ホドロフスキーは「失敗作でホッとしたと語っている。もちろんリンチの才能は疑いようもなく、制作会社のひどい編集のせい」(大意)と評したがリンチ独特の世界観が一部の映画ファンの間でカルト作品として一定の評価を得ていたりする。 1989年にTV用の再編集版が制作されたが編集権のゴタゴタから監督は”アラン・スミシー”名義になっている リンチ版ポール役のカイル・マクラクランは本作がデビュー作で後にリンチ作品の常連となり、「ブルー・ベルベット」「ツイン・ピークス」でブレイクした。・冒頭は小説同様イルーランの語りからスタート(イルーランはヴィルヌーヴ版ではパート2に登場)。「デューン」の世界では皇帝を頂点に配下の貴族が皇帝に与えられた惑星を統治している…という設定なのだが、リンチ版の冒頭は皇帝がアトライデス家を苦々しく思っており、アトライデス家を滅ぼそうと策を巡らせるところから始まる。皇帝に側近の衣装は中世ヨーロッパ風。帝国も手を出せないギルドの連中が皇帝に「ポールを殺せ」と進言するがギルドの連中はエトラムルのように人の姿をしてない。皇帝関係者といいリンチ監督のカラーが出てるヴィルヌーヴ版はレト公爵がアラキスに転封されるという命令を受けるシーンが序盤のハイライトなのだが、リンチ版にはなく宇宙船でアラキスに向かうところが入ってる・リンチ版のポールは繊細さとは無縁な容姿。父が転封を受ける前剣の師匠であるハレックと鍛錬を行う際、シールドを展開してるんだけどワイヤーフレームというかポリゴンという風なエフェクトに。ハレック役のパトリック・スチュワートって「新スター・トレック」と「X-MEN」に出てた人だよな。・ハリコネン男爵、2021年版ではハゲ頭だったがリンチ版では顔にデキモノが多数あり、デキモノだらけの顔に加えて奇声を発しながら空中浮遊をしてる所はエキセントリック。・アラキスに着いたポールは父とともにスパイスの採掘の現場を視察。乗ってる飛行機の中身はレトロなデザインで虫みたいな羽は持たず。レトロなレバーで操縦ってところも独特。・内通者と帝国が派遣した軍のせいでアトライデ家は離散…ってところ兵士は普通の軍服姿なのがシュール。厳しい環境で水が貴重な星が舞台なのに暑さ対策みたいなのをしてないし。・ヴィルヌーヴ版では「エルヴィス」で知られるオースティン・バトラーが演じることになるフェイド・ラウサはリンチ版では「THE POLICE」のフロントマン・スティングが演じてる。実現しなかった「ホドロフスキーのDUNE」ではローリング・ストーンズのミック・ジャガーが演る予定だったとか。スティングのフェイド、いかにも好戦的なルックス。・砂漠に母とともに砂漠に放逐されたポールはフレメンに助けられ、行動を共にするように。フレメンの長・スティルガーにアラキス地下にあるため池に案内される。地下にきれいな水がある場所って腐海の底を思わせる。いきなりチャニと交流するポール・・・って所は唐突。予知夢で度々見ていた…と言う割には・後半はPart2で描かれるであろうエピソードになっていく。ポールはフレメンの人々に音波を破壊エネルギーにする兵器の使い方を教え、サンドワームを従わせる儀式に臨むなど皇帝家とハリコネン打倒のための戦いの準備を着々と進めていく。そんな中ジェシカは妊娠中なのに毒と言われてる「命の水」を摂取し、ベネ・ゲゼリットの試練を受けていた。で、生まれた子は女子で超能力を持っていたことが判明。胎児の演出が不気味。・力を蓄えたポールはハリコネンと皇帝に戦いを挑むことに。サンドワームに乗ってゲリラ戦を展開…ってとこは駆け足になってる。皇帝の前に現れたポールの妹・エイリアの子役が不気味。母が「命の水」を飲んだ影響で超能力を持ってる上、成長も常人よりも早いという設定のためか。仲間とともに宮殿に乗り込んだポールは皇帝に位を譲れと迫ってきた。それに異を唱えるフェイドとポールはタイマン。ハルコネン男爵とフェイドを倒したポールが新しい皇帝になってめでたしめでたし…って感じで終了。EDロールがミュージカル映画のようなノリになってる。ダイジェスト的な内容からリンチ監督は本作を「失敗作」と評してはいるもののヴィルヌーヴ版でのひんやりとしてるところ、アラキスの描写が中東風なとこと比べると遠い未来なのに中世ヨーロッパ風の要素があるって言う独特さは面白いと思う。8月にリンチ版公開40周年を記念して4Kリマスター版が公開【中古】 デューン/砂の惑星 日本公開30周年記念特別版 Blu-rayボックス(Blu-ray Disc)/カイル・マクラクラン,ショーン・ヤング,スティング,デヴィッド・リンチ(監督、脚本),ディノ・デ・ラウレンティス(製作総指揮),フラン